SaySayLaw

東京都管理職選考事件

最大判平成17年1月26日

東京都が管理職昇任の資格要件に日本国籍を求めた措置は、労基法3条・憲法14条1項に違反しないとした大法廷判決

憲法法の下の平等人権総論・享有主体天皇・平和主義本試験で 4 問(短答 4・論文 0)

出題:司法H23・司法R3・司法R6・予備H29

裁判所
最高裁判所大法廷
事件番号
平成10(行ツ)93 管理職選考受験資格確認等請求事件
裁判
判決・破棄自判
判例集
民集 第59巻1号128頁
参照法条
憲法14条1項,労働基準法3条,労働基準法112条,地方公務員法(平成10年法律第112号による改正前のもの)58条3項,地方公務員法13条,地方公務員法17条,地方公務員法19条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

1 地方公共団体が日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることと労働基準法3条,憲法14条1項 2 東京都が管理職に昇任するための資格要件として日本の国籍を有することを定めた措置が労働基準法3条,憲法14条1項に違反しないとされた事例

裁判要旨

1 地方公共団体が,公権力の行使に当たる行為を行うことなどを職務とする地方公務員の職とこれに昇任するのに必要な職務経験を積むために経るべき職とを包含する一体的な管理職の任用制度を構築した上で,日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることは,労働基準法3条,憲法14条1項に違反しない。 2 東京都が管理職に昇任すれば公権力の行使に当たる行為を行うことなどを職務とする地方公務員に就任することがあることを当然の前提として任用管理を行う管理職の任用制度を設けていたなど判示の事情の下では,職員が管理職に昇任するための資格要件として日本の国籍を有することを定めた東京都の措置は,労働基準法3条,憲法14条1項に違反しない。 (1,2につき補足意見,意見及び反対意見がある。)

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

Xは昭和25年に岩手県で生まれた大韓民国籍の特別永住者である。東京都Yは昭和61年に保健婦の採用で国籍要件を外し、Xは昭和63年に保健婦として採用された。Xは平成6年度の管理職選考(課長級の職への第1次選考、選考種別Aの技術系・医化学)を受験しようとしたが、日本国籍を有しないことを理由に申込書の受領を拒まれた。平成7年度の実施要綱には国籍要件が明記され、この年度も受験できなかった。

Yの管理職には、事案の決定権限を持つ職、決定過程に関与する職のほか、企画・研究を行い決定過程に関わる蓋然性の少ない職も若干あった。Yでは、管理職に昇任した職員に終始特定の職種だけを担当させる任用管理はしていなかった。

Xは国賠法1条1項に基づき慰謝料等を請求した。第1審は請求を棄却したが、原審(東京高裁)は、受験拒否が憲法22条1項・14条1項に違反するとして各年度20万円の慰謝料を認容した。Yが上告した。

争点

  • 地方公共団体が日本国民である職員に限って管理職に昇任できるとする措置は、労基法3条・憲法14条1項に違反するか
  • 外国人の就任が想定されない「公権力行使等地方公務員」の範囲と、それと一体の管理職任用制度の下で一律に国籍要件を課すことの合理性
  • 特別永住者について別異に解すべきか

判旨

破棄自判。Xの控訴を棄却し、請求棄却が確定した。

  • 勤務条件と差別禁止:普通地方公共団体は、採用した在留外国人について、国籍を理由に勤務条件で差別的取扱いをしてはならない(労基法3条・112条、地公法58条3項)。昇格等も勤務条件に含まれる。しかし、合理的な理由に基づいて日本国民と異なる取扱いをすることは、労基法3条にも憲法14条1項にも違反しない。
  • 公権力行使等地方公務員:住民の権利義務を直接形成しその範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い、もしくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い、またはこれらに参画することを職務とする地方公務員をいう。国民主権の原理(憲法1条・15条1項参照)に照らし、これには原則として日本国籍を有する者が就任することが想定されている。
  • 一体的な任用制度と国籍要件:公権力行使等地方公務員の職と、これに昇任するのに必要な職務経験を積むために経るべき職とを包含する一体的な管理職任用制度を構築し、日本国民に限って管理職に昇任できるとする措置は、合理的な理由に基づく区別である。この理は特別永住者にも妥当する。
  • 本件への当てはめ:Yは一体的な管理職任用制度を設けていたから、国籍要件は適法である。公権力行使等地方公務員に当たらない管理職が若干あっても、この判断は左右されない。

判決文から

「住民の権利義務を直接形成し,その範囲を確定するなどの公権力の行使に当たる行為を行い,若しくは普通地方公共団体の重要な施策に関する決定を行い,又はこれらに参画することを職務とするもの」

「公権力行使等地方公務員」の定義

「原則として日本の国籍を有する者が公権力行使等地方公務員に就任することが想定されているとみるべきであり」

国民主権原理からの帰結。「禁止」ではなく「想定」

「普通地方公共団体が上記のような管理職の任用制度を構築した上で,日本国民である職員に限って管理職に昇任することができることとする措置を執ることは,合理的な理由に基づいて日本国民である職員と在留外国人である職員とを区別するものであり」

要旨1の規範部分

「そして,この理は,前記の特別永住者についても異なるものではない。」

特別永住者も別扱いしない

「公権力行使等地方公務員には当たらないものも若干存在していたとしても,上記判断を左右するものではない。」

原審の職ごとの分別論を退けた点

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。