最判平成16年7月6日
共同相続人間で、ある者が相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは、固有必要的共同訴訟であるとした判例。
出題:予備R3・予備R4
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 平成15(受)1153 相続権不存在確認請求事件
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第58巻5号1319頁
- 参照法条
- 民訴法40条,民訴法134条,民法891条,民法898条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
共同相続人間における相続人の地位不存在確認の訴えと固有必要的共同訴訟
裁判要旨
共同相続人が,他の共同相続人に対し,その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは,固有必要的共同訴訟である。
解説
事案
甲が平成9年3月14日に死亡した。法定相続人は妻乙と、子であるX(上告人)、Y(被上告人)、A、Bである。
Xは、Yが甲の遺言書を隠匿または破棄したと主張した。この行為は民法891条5号の相続欠格事由に当たるというのである。そこでXは、Yのみを被告として、Yが甲の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えを提起した。
原審(東京高裁)は、共同相続人全員を当事者としていないことを理由に、本件訴えを却下した。Xが上告受理を申し立てた。
争点
- 共同相続人が他の共同相続人に対して提起する「相続人の地位不存在確認の訴え」は、固有必要的共同訴訟(民訴法40条)か
- 共同相続人の一部のみを当事者とする同訴えは適法か
判旨
上告棄却(原審の訴え却下を是認)。
規範:共同相続人が、他の共同相続人に対し、その者が被相続人の遺産につき相続人の地位を有しないことの確認を求める訴えは、次のように扱われる。
- 共同相続人全員が当事者として関与し、その間で合一にのみ確定することを要する。
- したがって、固有必要的共同訴訟である。
あてはめ:Xは共同相続人のうちYのみを被告とし、乙・A・Bを当事者としていない。このため本件訴えは当事者適格を欠き、不適法として却下される。
判決文から
「被相続人の遺産につき特定の共同相続人が相続人の地位を有するか否かの点は,遺産分割をすべき当事者の範囲,相続分及び遺留分の算定等の相続関係の処理における基本的な事項の前提となる事柄である。」
相続人の地位が相続関係処理の前提であることを示す
「遺産分割前の共有関係にある当該遺産につきその者が相続人の地位を有するか否かを既判力をもって確定することにより,遺産分割審判の手続等における上記の点に関する紛議の発生を防止し,共同相続人間の紛争解決に資することを目的とするものである。」
訴えの目的=既判力による遺産分割前の紛議防止
「上記訴えは,共同相続人全員が当事者として関与し,その間で合一にのみ確定することを要するものというべきであり,いわゆる固有必要的共同訴訟と解するのが相当である。」
結論となる規範部分。答案でそのまま使える
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