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最判平成16年3月25日

債務不存在確認の本訴に対し、同じ債務の履行を求める反訴が提起されると、本訴は確認の利益を欠き却下される

民事訴訟法訴えの利益訴えの提起・訴訟物処分権主義本試験で 2 問(短答 1・論文 1)

出題:司法H30・予備H26

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
平成13(オ)734 保険金請求,債務不存在確認請求本訴,同反訴事件
裁判
判決・その他
判例集
民集 第58巻3号753頁
参照法条
商法680条1項1号,民法91条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

1 生命保険契約において保険者の責任開始の日から1年内に被保険者が自殺した場合には死亡保険金を支払わない旨を定めている保険約款の解釈 2 債務の履行を求める反訴が提起されている場合における当該債務の不存在確認を求める訴えの確認の利益 3 保険金支払債務の履行を求める反訴が提起されたために債務者が提起した当該債務が存在しないことの確認を求める訴えが確認の利益がないとして却下された場合において当該確認訴訟に係る訴訟の総費用を債権者に負担させた事例

裁判要旨

1 生命保険契約に係る保険約款中の保険者の責任開始の日から1年内に被保険者が自殺した場合には保険者は死亡保険金を支払わない旨の定めは,責任開始の日から1年経過後の被保険者の自殺による死亡については,当該自殺に関し犯罪行為等が介在し,当該自殺による死亡保険金の支払を認めることが公序良俗に違反するおそれがあるなどの特段の事情が認められない場合には,当該自殺の動機,目的が保険金の取得にあることが認められるときであっても,免責の対象とはしない趣旨と解すべきである。 2 債務者が債権者に対して提起した債務が存在しないことの確認を求める訴えは,当該債務の履行を求める反訴が提起されている場合には,確認の利益がない。 3 (省略)

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

防水建築請負会社A1とその代表者甲は、甲を被保険者とし、A1または甲の妻A2を受取人とする多数・多額の生命保険契約を締結していた(A1受取人の契約はA1が、A2受取人の契約は甲が締結)。平成6年契約と平成7年契約がある。甲は平成7年10月に建物屋上から転落死し、原審はこれを自殺と認定した。

  • 第1事件:A1が、平成6年契約の保険会社4社に保険金を請求した。
  • 第2事件:平成7年契約の保険会社5社が、A1またはA2を相手に、主契約死亡保険金の支払債務の不存在確認を求めた。
  • 第3事件:第2事件の反訴として、A1・A2が平成7年契約に基づく保険金と遅延損害金の支払を求めた。

約款には、責任開始日から1年内の自殺を免責とする特約(1年内自殺免責特約)があった。原審は、1年経過後の自殺でも保険金取得目的なら商法680条1項1号で免責されるとして第1事件の請求を棄却し、第2事件の債務不存在確認請求についても判断していた。A1・A2が上告した。

争点

  • 債務の履行を求める反訴が提起された場合、同じ債務の不存在確認を求める本訴に確認の利益があるか
  • 確認の利益を欠くとして本訴を却下する場合の訴訟費用の負担
  • 1年内自殺免責特約の下で、1年経過後の保険金取得目的の自殺について保険者は免責されるか

判旨

民訴法上の判断(職権判断)

  • 結論:債務者が債権者に対して提起した債務不存在確認の訴えは、その債務の履行を求める反訴が提起されている場合には、確認の利益がない。
  • 規範(答案用):債務不存在確認の本訴係属中に同一債務の給付を求める反訴が提起されたときは、本訴はもはや確認の利益を欠き、不適法として却下される。
  • 本件では、原判決のうち債務不存在確認請求に関する部分を破棄し、第1審判決を取り消して訴えを却下した。
  • この部分の訴訟の総費用は、民訴法62条を適用して上告人ら(反訴原告である保険金請求者側)の負担とした。

保険法上の判断
1年内自殺免責特約は、1年経過後の自殺については、犯罪行為等が介在し保険金の支払が公序良俗に違反するおそれがあるなどの特段の事情がない限り、自殺の動機・目的が保険金取得にあっても免責の対象としない趣旨と解される。本件では特段の事情がないとして、第1事件を原審に差し戻した。

判決文から

「反訴が提起されている以上,もはや確認の利益を認めることはできないから,平成7年契約関係被上告人5社の上記訴えは,不適法として却下を免れないというべきである。」

給付反訴の提起で本訴の確認の利益が失われる核心部分

「本判決主文第2項及び第3項に関する訴訟の総費用については,民訴法62条の規定を適用し,上告人らの負担とする。」

却下された本訴の費用を勝訴側の債権者に負担させた点

「1年経過後の被保険者の自殺による死亡については,当該自殺に関し犯罪行為等が介在し,当該自殺による死亡保険金の支払を認めることが公序良俗に違反するおそれがあるなどの特段の事情がある場合は格別」

1年内自殺免責特約の解釈基準(特段の事情)

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。