ゴルフクラブ名称続用事件
営業主体を表示するゴルフクラブ名称を営業譲受人が続用した場合、旧商法26条1項の類推適用で預託金返還義務を負うとした判例
出題:予備H30・予備R4
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 平成14(受)399 預託金返還請求事件
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 民集 第58巻2号367頁
- 参照法条
- 商法26条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
ゴルフ場の営業の譲受人が譲渡人の用いていた預託金会員制のゴルフクラブの名称を継続して使用している場合における譲受人の預託金返還義務の有無
裁判要旨
預託金会員制のゴルフクラブの名称がゴルフ場の営業主体を表示するものとして用いられている場合において,ゴルフ場の営業の譲渡がされ,譲渡人が用いていたゴルフクラブの名称を譲受人が継続して使用しているときには,譲受人が譲受後遅滞なく当該ゴルフクラブの会員によるゴルフ場施設の優先的利用を拒否したなどの特段の事情がない限り,譲受人は,商法26条1項の類推適用により,会員が譲渡人に交付した預託金の返還義務を負う。
解説
事案
- D社は、預託金会員制ゴルフクラブ「Eカントリー倶楽部」(本件クラブ)が設けられたゴルフ場を経営していた。
- Xは平成元年、Dに1300万円を預託し、本件クラブの正会員資格を取得した。
- Y社はDからゴルフ場の営業を譲り受けた。その後、Dの商号は用いていないが、本件クラブの名称を用いてゴルフ場を経営している。
- 原判決では、YがDの預託金返還債務を引き受けた事実は認定されていない。
- Xは、商法26条1項(平成17年改正前。現会社法22条1項・商法17条1項)の類推適用により、Yが預託金返還義務を負うと主張して提訴した。
- 第1審は請求を認容した。原審(大阪高裁)は、会員が預託金返還請求で信頼するのはクラブ名称ではなく商号により表象される営業主体であり、名称と営業主体が異なることは会員権購入者なら容易に知りうるとして類推適用を否定し、請求を棄却した。
争点
- 営業譲受人が譲渡人の商号ではなくゴルフクラブの名称を続用している場合に、商法26条1項(現会社法22条1項)を類推適用できるか
- 類推適用が否定される「特段の事情」とは何か
判旨
原判決破棄・差戻し。
規範:預託金会員制ゴルフクラブの名称が、ゴルフ場の営業主体を表示するものとして用いられている場合において、ゴルフ場の営業譲渡がされ、譲渡人が用いていたクラブ名称を譲受人が継続して使用しているときは、特段の事情がない限り、譲受人は商法26条1項の類推適用により、会員が譲渡人に交付した預託金の返還義務を負う。
特段の事情の例:譲受人が譲受後遅滞なく、当該クラブ会員によるゴルフ場施設の優先的利用を拒否したこと。
本件では、Yが本件クラブの名称を用いてゴルフ場を経営しており、名称が営業主体を表示するものとして用いられているとみることができる。そのため、特段の事情の存否を審理せずに類推適用を否定した原審には法令違反があるとして、差し戻した。
判決文から
「当該ゴルフクラブの名称は,そのゴルフクラブはもとより,ゴルフ場の施設やこれを経営する営業主体をも表示するものとして用いられることが少なくない。」
名称が営業主体表示機能を持つという類推の前提
「預託金会員制のゴルフクラブの名称がゴルフ場の営業主体を表示するものとして用いられている場合において,ゴルフ場の営業の譲渡がされ,譲渡人が用いていたゴルフクラブの名称を譲受人が継続して使用しているときには」
類推適用の要件部分
「譲受人が譲受後遅滞なく当該ゴルフクラブの会員によるゴルフ場施設の優先的利用を拒否したなどの特段の事情がない限り」
責任を免れる特段の事情の具体例
「会員において,同一の営業主体による営業が継続しているものと信じたり,営業主体の変更があったけれども譲受人により譲渡人の債務の引受けがされたと信じたりすることは,無理からぬものというべきである。」
商号続用責任の趣旨=外観への信頼保護
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
