最判平成16年12月10日
発見・追跡されずに現場を離れ、約30分後に再び盗みに戻った際の脅迫は窃盗の機会継続中とはいえないとした事例
出題:司法R1・司法R3・予備R3
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 平成16(あ)92 住居侵入,事後強盗,銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 刑集 第58巻9号1047頁
- 参照法条
- 刑法238条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
窃盗の犯人による事後の脅迫が窃盗の機会の継続中に行われたとはいえないとされた事例
裁判要旨
被害者方で財物を窃取した犯人が,だれからも発見,追跡されることなく,いったん同所から約1km離れた場所まで移動し,窃取の約30分後に再度窃盗をする目的で被害者方に戻った際に逮捕を免れるため家人を脅迫したなど判示の事実関係の下においては,その脅迫は,窃盗の機会の継続中に行われたものとはいえない。
解説
事案
被告人は金品窃取の目的で、午後0時50分ころ、A方の1階居間の無施錠の掃き出し窓から侵入した。居間で現金等の入った財布・封筒を窃取し、侵入の数分後に玄関から戸外に出た。その際、だれからも発見・追跡されることなく、自転車で約1km離れた公園に向かった。
公園で現金を数えると3万円余りしかなかったため、再度A方に盗みに入ろうと引き返した。午後1時20分ころ玄関扉を開けたところ、室内に家人がいると気付き、扉を閉めて門扉外の駐車場に出た。そこで帰宅していた家人Bに発見され、逮捕を免れるため、ボウイナイフの刃先をBに示して左右に振りながら近付き、Bがひるんだすきに逃走した。
原審(東京高裁)は事後強盗罪の成立を認めた。その理由は、被告人が盗品をポケットに入れたまま当初の窃盗目的を達成するため約30分後に同じ家に引き返したこと、家人は玄関の開閉の時点で泥棒に気付いて追ったことであった。
争点
- 事後強盗罪(刑法238条)の暴行・脅迫は窃盗の機会の継続中に行われる必要があるところ、本件脅迫は窃盗の機会の継続中に行われたといえるか
- いったん安全圏に離脱した後、再度窃盗目的で現場に戻った際の脅迫に事後強盗罪が成立するか
判旨
結論:本件脅迫は窃盗の機会の継続中に行われたものとはいえない。事後強盗罪の成立を認めた原判決は、事実を誤認して法令の解釈適用を誤ったものである(刑訴法411条1号・3号により破棄差戻し)。
規範(答案用):事後強盗罪の暴行・脅迫は、窃盗の機会の継続中に行われることを要する。その判断は、窃盗犯人が被害者等から容易に発見されて財物を取り返され、あるいは逮捕され得る状況が続いているかによる。犯人が窃取後、だれからも発見・追跡されることなくいったん犯行現場を離れ、ある程度の時間を過ごせば、上記の状況はなくなる。その後に再度窃盗目的で現場に戻ったとしても、その際の脅迫は窃盗の機会の継続中に行われたものとはいえない。
判決文から
「被告人は,財布等を窃取した後,だれからも発見,追跡されることなく,いったん犯行現場を離れ,ある程度の時間を過ごしており,この間に,被告人が被害者等から容易に発見されて,財物を取り返され,あるいは逮捕され得る状況はなくなったものというべきである。」
機会継続性の判断基準(取返し・逮捕され得る状況)を示す核心部分
「被告人が,その後に,再度窃盗をする目的で犯行現場に戻ったとしても,その際に行われた上記脅迫が,窃盗の機会の継続中に行われたものということはできない。」
再度の窃盗目的による戻りでも機会は復活しないとする結論
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
