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NHK生活ほっとモーニング事件

最判平成16年11月25日

放送法4条1項の訂正放送義務は国民全体に対する公法上の義務であり、被害者に訂正放送を求める私法上の権利はないとした判例

憲法表現の自由本試験で 2 問(短答 2・論文 0)

出題:司法H25・司法H26

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
平成13(オ)1513 訂正放送等請求事件
裁判
判決・その他
判例集
民集 第58巻8号2326頁
参照法条
放送法4条,民法723条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

放送事業者がした真実でない事項の放送により権利の侵害を受けた本人等が放送法4条1項の規定に基づく訂正又は取消しの放送を求める私法上の権利の有無

裁判要旨

放送事業者がした真実でない事項の放送により権利の侵害を受けた本人等は,放送事業者に対し,放送法4条1項の規定に基づく訂正又は取消しの放送を求める私法上の権利を有しない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

Xは夫甲と調停離婚した。離婚までには、甲の身勝手な生活や嫌がらせ、家庭内別居といった経緯があった。その後、NHK(Y)は、テレビ番組「生活ほっとモーニング」で「妻からの離縁状・突然の別れに戸惑う夫たち」と題する放送をした。番組に出演した甲は離婚の経緯を語り、甲と長男の顔はぼかしなしで放映された。

放送の内容は、おおむね次のようなものであった。

  • 妻が突然離婚を切り出し、一方的に家を出た
  • 妻は、ささいな理由で準備を整えたうえで離婚を迫った

Xは、真実でない事項が放送され名誉・プライバシーを侵害されたとして、Yに次の三つを請求した。

  • 民法709条・710条に基づく慰謝料
  • 民法723条に基づく謝罪放送
  • 放送法4条1項に基づく訂正放送

原審は、放送内容は真実でなく、名誉毀損・プライバシー侵害にあたると認定した。そのうえで、損害賠償を一部認容し、謝罪放送は棄却した。訂正放送については、放送法4条1項は私法上の訂正放送請求権を定めたものだとして認容した。Yが上告受理申立てをした。

争点

  • 放送事業者の真実でない事項の放送により権利侵害を受けた者は、放送法4条1項に基づき訂正・取消しの放送を求める私法上の権利を有するか
  • 放送法4条1項の訂正放送等義務の法的性質(公法上の義務か、私法上の義務か)

判旨

訂正放送請求を認容した原判決部分を破棄し、この部分についてXの控訴を棄却した(訂正放送請求の棄却が確定)。損害賠償部分の上告は、上告受理申立て理由が受理決定で排除されたため棄却された。

規範:放送法4条1項は、放送内容の真実性の保障と、他からの干渉を排除することによる表現の自由の確保の観点から、放送事業者に対し、自律的に訂正放送等を行うことを国民全体に対する公法上の義務として定めたものである。被害者に訂正放送等を求める私法上の請求権を付与する趣旨ではない。

同項は被害者の請求について規定しているが、この請求は、放送事業者が真実性の調査と訂正放送等を行うための端緒にすぎない。したがって、被害者は、放送事業者に対し、同項に基づく訂正放送等を求める私法上の権利を有しない。

判決文から

「放送事業者に対し,自律的に訂正放送等を行うことを国民全体に対する公法上の義務として定めたものであって,被害者に対して訂正放送等を求める私法上の請求権を付与する趣旨の規定ではないと解するのが相当である。」

訂正放送義務の法的性質を示す中核部分

「同請求を,放送事業者が当該放送の真実性に関する調査及び訂正放送等を行うための端緒と位置付けているものと解するのが相当であって,これをもって,上記の私法上の請求権の根拠と解することはできない。」

被害者の請求を「端緒」と位置付けた点

「別に法律で定める権限に基づく場合でなければ,他からの放送番組編集への関与は許されないのである。」

放送番組編集の自由(法3条)の意味

「被害者は,放送事業者に対し,法4条1項の規定に基づく訂正放送等を求める私法上の権利を有しないというべきである。」

判決要旨そのもの

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。