参議院非拘束名簿式比例代表制訴訟
参議院の非拘束名簿式比例代表制は、政党本位の制度として国会の裁量の範囲内であり、憲法15条・43条1項に反しない
出題:司法H22・司法R2・司法R3・司法R4・司法R5・予備R3
- 裁判所
- 最高裁判所大法廷
- 事件番号
- 平成15(行ツ)15 選挙無効請求事件
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第58巻1号1頁
- 参照法条
- 憲法15条,憲法43条1項,公職選挙法46条3項,公職選挙法86条の3,公職選挙法95条の3
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
公職選挙法が参議院(比例代表選出)議員選挙につき採用している非拘束名簿式比例代表制の合憲性
裁判要旨
公職選挙法が参議院(比例代表選出)議員選挙につき採用している非拘束名簿式比例代表制は,憲法15条,43条1項に違反するとはいえない。
解説
事案
平成12年の公職選挙法改正(平成12年法律第118号)で、参議院比例代表選出議員の選挙制度が、昭和57年導入の拘束名簿式から非拘束名簿式に改められ、あわせて定数が10人(比例代表は4人)削減された。
改正公選法の仕組みは次のとおりである。
- 政党等は、当選順位を記載しない参議院名簿を届け出る。
- 選挙人は名簿登載者1人の氏名を自書するが、代わりに政党等の名称を自書することもできる(46条3項)。
- まず、名簿登載者の得票を含む政党等の得票数で各党の当選人数を決める。次に、党内では個人得票の多い順に当選順位を決め、同数のときは選挙長のくじで決める(95条の3)。
この改正法による平成13年7月29日施行の参議院比例代表選挙について、選挙人らが規定の違憲無効を理由に選挙無効訴訟を提起した。原審(東京高裁)は請求を退け、上告された。
争点
- 個人名投票を所属政党等への投票として数え、政党は支持しないが個人には投票したいという投票意思を認めないことが、選挙権を侵害し憲法15条に反するか
- 議員の辞職・離党や連座制による当選無効の後も、その得票が政党票として残ることが不合理か
- 超過得票が同じ名簿の他の登載者の当選に用いられること(投票の流用)や、くじによる順位決定が、直接選挙(憲法43条1項)に反するか
- 立法目的の不当性・審議経過の不当性を理由に、国会の裁量の逸脱といえるか
判旨
結論:非拘束名簿式比例代表制は憲法15条、43条1項に違反しない(上告棄却、全員一致)。
規範:
- 憲法は、議員が全国民を代表するという制約の下で、選挙に関する事項を法律で定めるとし(43条・47条)、選挙制度の仕組みの具体的決定を原則として国会の裁量に委ねている。
- 国会が新たな選挙制度を採用した場合、その具体的内容が、裁量権を考慮してもなお上記制約や法の下の平等などの憲法上の要請に反して限界を超え、是認できないときに、初めて違憲となる。
あてはめ:
- 政党を媒体として国民の政治意思を国政に反映させる名簿式比例代表制の採用は、明らかに国会の裁量の範囲に属する。
- 本件の当選人決定方式は、選挙人の総意で当選人が決まる点で、候補者個人を直接選ぶ方式と異ならない。したがって直接選挙に当たる。
判決文から
「その具体的に定めたところが,国会の上記のような裁量権を考慮しても,上記制約や法の下の平等などの憲法上の要請に反するためその限界を超えており,これを是認することができない場合に,初めてこれが憲法に違反することになる」
選挙制度の仕組みに関する違憲審査の枠組み
「憲法は,政党について規定するところがないが,政党の存在を当然に予定しているものであり,政党は,議会制民主主義を支える不可欠の要素であって,国民の政治意思を形成する最も有力な媒体である。」
短答頻出の政党の憲法上の位置づけ
「名簿式比例代表制は,政党の選択という意味を持たない投票を認めない制度であるから」
個人のみ支持の投票意思を認めなくても15条違反でない理由
「投票の結果すなわち選挙人の総意により当選人が決定される点において,選挙人が候補者個人を直接選択して投票する方式と異なるところはない。」
直接選挙(43条1項)に当たるとした核心
「当選人の決定に選挙人以外の者の意思が介在するものではないから」
くじによる順位決定も直接選挙に反しない理由
「所定の手続にのっとって可決成立した法律の効力が国会における審議の内容,経過により左右される余地はない」
審議経過の不当は違憲主張として失当
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
