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早稲田大学江沢民講演会名簿提出事件

最判平成15年9月12日

単純な個人識別情報もプライバシーに係る情報として法的保護の対象であり、無断で警察に開示すれば不法行為になるとした判例

憲法幸福追求権・プライバシー人権総論・享有主体情報公開・個人情報本試験で 3 問(短答 3・論文 0)

出題:司法H28・司法R3・予備R4

裁判所
最高裁判所第二小法廷
事件番号
平成14(受)1656 損害賠償等請求事件
裁判
判決・破棄差戻
判例集
民集 第57巻8号973頁
参照法条
民法709条,民法710条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

1 大学主催の講演会に参加を申し込んだ学生の氏名,住所等の情報は法的保護の対象となるか 2 大学がその主催する講演会に参加を申し込んだ学生の氏名,住所等の情報を警察に開示した行為が不法行為を構成するとされた事例

裁判要旨

1 大学が講演会の主催者として学生から参加者を募る際に収集した参加申込者の学籍番号,氏名,住所及び電話番号に係る情報は,参加申込者のプライバシーに係る情報として法的保護の対象となる。 2 大学が講演会の主催者として学生から参加者を募る際に収集した参加申込者の学籍番号,氏名,住所及び電話番号に係る情報を参加申込者に無断で警察に開示した行為は,大学が開示についてあらかじめ参加申込者の承諾を求めることが困難であった特別の事情がうかがわれないという事実関係の下では,参加申込者のプライバシーを侵害するものとして不法行為を構成する。 (2につき反対意見がある。)

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

D大学(私立。設置者は学校法人)は、中華人民共和国のE国家主席の講演会を開くことにし、学生から参加者を募った。参加の申込みは、各事務所に置かれた名簿に学籍番号・氏名・住所・電話番号を記入する方式で行われた。準備の打合せで、警視庁は警備のため出席者名簿の提出を求めた。大学は内部での議論を経てこれに応じ、学生の名簿の写しを、教職員・留学生・プレス関係者等の名簿とあわせて戸塚署に提出した。その際、学生の同意は得ていない。

上告人ら(学生)は講演会に参加し、講演中に「中国の核軍拡反対」と大声で叫ぶなどしたため、現行犯逮捕され、大学からけん責処分を受けた。上告人らは、違法な逮捕への協力や処分の無効などを理由とする請求とあわせて、名簿の無断提出がプライバシー侵害にあたるとして損害賠償を求めた。原審は全請求を棄却した。上告受理申立ては、このうちプライバシー侵害を理由とする損害賠償請求の部分に限られた。

争点

  • 学籍番号・氏名・住所・電話番号、講演会参加申込者であることといった単純な個人識別情報が、プライバシーに係る情報として法的保護の対象となるか
  • 大学が本人に無断で上記情報を警察に開示した行為が、プライバシー侵害として不法行為(民法709条・710条)を構成するか

判旨

結論:原判決のうちプライバシー侵害を理由とする損害賠償請求に関する部分を破棄し、東京高裁に差し戻した。

規範1(保護の対象)

  • 学籍番号・氏名・住所・電話番号は個人識別のための単純な情報であり、秘匿の必要性は必ずしも高くない。参加申込者であることも同じである。
  • それでも、本人が自己の欲しない他者にはみだりに開示されたくないと考えるのは自然であり、その期待は保護されるべきである。
  • よって、これらはプライバシーに係る情報として法的保護の対象となる。

規範2(不法行為の成否)

  • 情報を収集した者は、本人の意思に基づかずにみだりにこれを他者に開示してはならない。
  • 本件では、警察への開示を事前に明示して承諾を求めることは容易であり、それが困難であった特別の事情もうかがわれない。
  • その下で同意を得る手続を執らずに無断で開示した行為は、任意に提供された情報の適切な管理についての合理的な期待を裏切るものであり、プライバシーを侵害する不法行為を構成する。

判決文から

「学籍番号,氏名,住所及び電話番号は,D大学が個人識別等を行うための単純な情報であって,その限りにおいては,秘匿されるべき必要性が必ずしも高いものではない。」

秘匿性が低いことは認めた前提部分

「本人が,自己が欲しない他者にはみだりにこれを開示されたくないと考えることは自然なことであり,そのことへの期待は保護されるべきものである」

単純情報でも法的保護の対象となる根拠

「このようなプライバシーに係る情報は,取扱い方によっては,個人の人格的な権利利益を損なうおそれのあるものであるから,慎重に取り扱われる必要がある。」

慎重な取扱いが求められる理由

「上告人らが任意に提供したプライバシーに係る情報の適切な管理についての合理的な期待を裏切るものであり,上告人らのプライバシーを侵害するものとして不法行為を構成するというべきである。」

違法性の根拠=適切管理への合理的期待

「原判決の説示する本件個人情報の秘匿性の程度,開示による具体的な不利益の不存在,開示の目的の正当性と必要性などの事情は,上記結論を左右するに足りない。」

原審の総合考慮を退けた部分

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。