スワット事件
組長が護衛のけん銃所持を直接指示しなくても、黙示の意思連絡と実質的な関与を理由に共謀共同正犯を認めた
出題:司法H26・司法R4・司法R5
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 平成14(あ)164 銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 刑集 第57巻5号507頁
- 参照法条
- 刑法60条,銃砲刀剣類所持等取締法3条1項,銃砲刀剣類所持等取締法31条の3第1項,銃砲刀剣類所持等取締法31条の3第2項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
暴力団組長である被告人が自己のボディガードらのけん銃等の所持につき直接指示を下さなくても共謀共同正犯の罪責を負うとされた事例
裁判要旨
暴力団組長である被告人が,自己のボディガードらのけん銃等の所持につき,直接指示を下さなくても,これを確定的に認識しながら認容し,ボディガードらと行動を共にしていたことなど判示の事情の下においては,被告人は前記所持の共謀共同正犯の罪責を負う。 (補足意見がある。)
解説
事案
被告人は約3100名の組員を抱える暴力団組長であった。被告人には「スワット」と呼ばれる専属ボディガード(判決文ではC)が付いていた。スワットはけん銃等を装備して外出中の被告人と終始行動を共にし、親分の指示ではなく「その気持ちを酌んで」自分の器量で警護する、という共通認識があった。
被告人が遊興目的で上京した際、東京側の組関係者が実包を装てんしたけん銃5丁を用意し、スワットらがこれを携帯した。一行は先乗り車・先導車・被告人車・スワット車などの車列を組んで都内を移動し、店の出入口付近ではけん銃を携帯したスワットらが警戒した。警察官の捜索により、被告人車の直後のスワット車からけん銃3丁等が押収され、先乗り車のスワットらが投棄したけん銃2丁も発見された。
被告人は、スワットらが警護のためけん銃等を携行していることを、概括的とはいえ確定的に認識していた。けん銃を持たないよう指示できる地位にありながら、これを当然のこととして受け入れて認容し、スワットらも被告人のこの意思を察していた。
争点
- 直接の指示・具体的謀議がない場合に、けん銃等所持について共謀(意思の連絡)が認められるか
- 実行行為(所持)を自ら行っていない組長に、共謀共同正犯(刑法60条)としての正犯性が認められるか
判旨
上告棄却。被告人には、スワットらのけん銃等所持(銃刀法31条の3第1項・2項、3条1項)について共謀共同正犯(刑法60条)が成立する。
- 意思の連絡:直接指示がなくても成立しうる。被告人は、スワットらが自発的に警護のためけん銃等を所持していることを確定的に認識し、当然のこととして受け入れて認容していた。スワットらもそれを承知していた。このような場合、両者の間には黙示的に意思の連絡があったといえる。
- 正犯性:スワットらは警護のためけん銃等を所持しながら、終始被告人の近辺で行動を共にしていた。これに、彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と、警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば、実質的には正に被告人がけん銃等を所持させていたと評しうる。
- 答案用の規範:共謀は明示である必要はなく、確定的認識・認容と相互の了解による黙示の意思連絡で足りる。そのうえで、地位・立場・利益などから実質的に自ら犯罪を行わせたと評価できる場合に、共謀共同正犯が成立する。
判決文から
「Cらが自発的に被告人を警護するために本件けん銃等を所持していることを確定的に認識しながら,それを当然のこととして受け入れて認容していたものであり,そのことをCらも承知していた」
黙示の意思連絡を基礎づける事実の中核
「被告人とCらとの間にけん銃等の所持につき黙示的に意思の連絡があったといえる。」
共謀は黙示の意思連絡で足りるとした部分
「彼らを指揮命令する権限を有する被告人の地位と彼らによって警護を受けるという被告人の立場を併せ考えれば,実質的には,正に被告人がCらに本件けん銃等を所持させていたと評し得るのである。」
正犯性を地位・立場から実質的に評価した部分
「他人の行為を自己の手段として犯罪を行ったものとして,そこに正犯意思が認められる本件のような場合には,共謀共同正犯が成立するというべきである。」
補足意見による正犯意思の位置づけ
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
