最決平成15年4月14日
110条1項の「公共の危険」は建造物等への延焼の危険に限られず、不特定又は多数の人の生命・身体・財産への危険も含むとした決定
出題:司法H24・司法H25・司法H30・司法R1・司法R2・司法R6
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 平成13(あ)1317 建造物等以外放火,暴行被告事件
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 刑集 第57巻4号445頁
- 参照法条
- 刑法110条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
1 刑法110条1項にいう「公共の危険」の意義 2 市街地の駐車場において放火された自動車から付近の2台の自動車に延焼の危険が及んだことなどをもって刑法110条1項にいう「公共の危険」の発生が認められた事例
裁判要旨
1 刑法110条1項にいう「公共の危険」は,同法108条及び109条1項に規定する建造物等に対する延焼の危険に限られるものではなく,不特定又は多数の人の生命,身体又は前記建造物等以外の財産に対する危険も含まれる。 2 市街地の駐車場において,放火された自動車から付近の2台の自動車に延焼の危険が及んだことなど判示の事実関係の下では,刑法110条1項にいう「公共の危険」の発生が認められる。
解説
事案
被告人は妻と共謀し、長女が通う小学校の担任教諭が所有する自動車(被害車両)への放火を企てた。午後9時50分ころ、同小学校の教職員用駐車場に無人でとめられていた被害車両の車体ほぼ全体にガソリン約1.45ℓをかけ、ガスライターで点火した。
- 本件駐車場は市街地にあり、公園や他の駐車場に隣接し、道路を挟んで小学校・農協の建物に隣接していた。
- 被害車両の西側3.8mに第1車両、その西側0.9mに第2車両(いずれも教諭以外の者の所有・無人)があった。東側3.4mには、可燃性ゴミ約300kgが置かれたゴミ集積場があった。
- 被害車両には約55ℓのガソリンが入っていた。高さ約20〜30cmの火を通行人が発見して通報し、消防隊が到着したころには火炎は高さ約1m、幅約40〜50cmに達していた。消火により鎮火した。
- 被害車両はタイヤ上部・エンジンルーム内配線・フロントガラス・トランク内部等が焼損した。第1・第2車両とゴミ集積場に延焼の危険が及んだ。
弁護人は、110条1項の「公共の危険」は108条・109条所定の建造物等への延焼のおそれに限られると主張して上告した。
争点
- 刑法110条1項にいう「公共の危険」は、108条・109条1項所定の建造物等への延焼の危険に限られるか
- 市街地の駐車場で放火された自動車から付近の2台の自動車に延焼の危険が及んだ本件で、「公共の危険」の発生が認められるか
判旨
上告棄却。建造物等以外放火罪(刑法110条1項)の成立を認めた原判決は正当である。
規範:110条1項の「公共の危険」は、108条・109条1項の建造物等に対する延焼の危険のみに限られない。不特定又は多数の人の生命、身体又は前記建造物等以外の財産に対する危険も含まれる(非限定説)。
当てはめ:市街地の駐車場で、被害車両からの出火により付近の第1・第2車両に延焼の危険が及んだ等の事実関係の下では、「公共の危険」の発生を肯定できる。
判決文から
「必ずしも同法108条及び109条1項に規定する建造物等に対する延焼の危険のみに限られるものではなく,不特定又は多数の人の生命,身体又は前記建造物等以外の財産に対する危険も含まれると解するのが相当である。」
公共の危険の意義についての規範。非限定説の採用
「市街地の駐車場において,被害車両からの出火により,第1,第2車両に延焼の危険が及んだ等の本件事実関係の下では,同法110条1項にいう「公共の危険」の発生を肯定することができるというべきである。」
建物への延焼がなくても車両への延焼危険で肯定
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
