最決平成15年3月18日
株式質権の設定者が虚偽の申立てによる除権判決で質入れ株券を失効させた行為に、背任罪の成立を認めた決定
出題:司法H22・予備H30・予備R4
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 平成11(あ)941 背任被告事件
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 刑集 第57巻3号356頁
- 参照法条
- 刑法247条,商法207条,商法(平成14年法律第44号による改正前のもの)230条,公示催告手続及ビ仲裁手続ニ関スル法律769条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
質権設定者が質入れした株券につき除権判決を得て失効させ質権者に損害を加えた場合と背任罪の成否
裁判要旨
株式を目的とする質権の設定者が,質入れした株券について虚偽の申立てにより除権判決を得て株券を失効させ,質権者に損害を加えた場合には,背任罪が成立する。
解説
事案
被告人は、A株式会社の代表取締役として、B相互会社から合計1億1800万円の融資を受けた。その担保として、B社のために株式を目的とする質権を設定し、B社に株券を交付していた。
ところが被告人は、返済期を過ぎても融資金を返済しなかった。そのうえで、A社の利益を図る目的で、質入れした株券を紛失したという虚偽の理由により除権判決の申立てをした。被告人は除権判決を得て株券を失効させ、質権者に財産上の損害を加えた。
第1審・原審は、被告人が刑法247条にいう「他人のためにその事務を処理する者」に当たるとして、背任罪の成立を認めた。弁護人は判例違反・憲法違反等を理由に上告した。最高裁は、上告趣意はいずれも上告理由に当たらないとしたうえで、職権で背任罪の成否を検討した。
争点
- 株式質権の設定者が、株券を質権者に交付した後も、質権者のために担保価値を保全すべき任務を負うか
- その任務は「他人のため」の事務(刑法247条)か、それとも自己の事務にすぎないか
- 虚偽の申立てにより除権判決を得て質入れ株券を失効させる行為について、背任罪が成立するか
判旨
上告を棄却し、背任罪の成立を認めた原判決を正当とした。
規範
- 株式を目的とする質権の設定者は、株券を質権者に交付した後であっても、融資金の返済があるまでは、当該株式の担保価値を保全すべき任務を負う。
- この任務には、除権判決を得て株券を失効させてはならないという不作為を内容とする任務も当然含まれる。
- この担保価値保全の任務は、他人である質権者のために負うものである。
結論
- 質権設定者がその任務に背き、虚偽の申立てにより除権判決を得て株券を失効させ、質権者に損害を加えた場合には、背任罪(刑法247条)が成立する。
- したがって、被告人は「他人のためにその事務を処理する者」に当たる。
判決文から
「株式を目的とする質権の設定者は,株券を質権者に交付した後であっても,融資金の返済があるまでは,当該株式の担保価値を保全すべき任務を負い,」
株券交付後も担保価値保全任務が続くとした点
「これには,除権判決を得て当該株券を失効させてはならないという不作為を内容とする任務も当然含まれる。」
任務の内容に不作為義務を含めた点
「そして,この担保価値保全の任務は,他人である質権者のために負うものと解される。」
「他人の事務」性を肯定した核心部分
「質権設定者がその任務に背き,質入れした株券について虚偽の申立てにより除権判決を得て株券を失効させ,質権者に損害を加えた場合には,背任罪が成立するというべきである」
結論(裁判要旨)部分
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
