最判平成15年10月7日
前訴・後訴の訴因がともに単純窃盗なら、実体上は常習特殊窃盗の一罪でも、一事不再理効は後訴に及ばないとした判例
出題:司法H25・予備R2
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 平成14(あ)743 建造物侵入,窃盗被告事件
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 刑集 第57巻9号1002頁
- 参照法条
- 刑訴法337条1号,刑法235条,盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律2条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
前訴及び後訴の各訴因が共に単純窃盗罪であるが実体的には一つの常習特殊窃盗罪を構成する場合と前訴の確定判決による一事不再理効の範囲
裁判要旨
前訴及び後訴の各訴因が共に単純窃盗罪である場合には,両者が実体的には一つの常習特殊窃盗罪を構成するとしても,前訴の確定判決による一事不再理効は,後訴に及ばない。
解説
事案
被告人は、建造物侵入・窃盗の各行為で起訴された。これらの行為は、別の機会の建造物侵入・窃盗について既にあった確定判決の認定事実と合わせると、実体的には盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律2条の常習特殊窃盗罪として一罪を構成するものであった。本件の各行為は確定判決前に犯された余罪であり、前訴と同様、単純窃盗罪(刑法235条)・建造物侵入罪として起訴された。
原判決(東京高裁)は、実体的に常習特殊窃盗の一罪を構成することは否定できないとした。そのうえで、余罪が単純窃盗罪・建造物侵入罪として起訴された場合は刑訴法337条1号の「確定判決を経たとき」に当たらないとし、免訴としなかった。
これに対し弁護人は、原判決が高松高判昭和59年1月24日に反すると主張して上告した。同判決は、同様の事案で「確定判決を経たとき」に当たるとして免訴を言い渡していた。あわせて、判例変更による処罰は憲法39条に違反すると主張した。
争点
- 前訴・後訴の訴因がともに単純窃盗罪で、実体的には一つの常習特殊窃盗罪を構成する場合、前訴の確定判決の一事不再理効は後訴に及ぶか(刑訴法337条1号)
- 前訴・後訴の訴因間の公訴事実の単一性は、何を基準に判断するか(訴因のみか、訴因に記載のない常習性まで証拠で心証形成するか)
- 判例変更に基づく処罰と憲法39条
判旨
上告棄却。高松高判昭和59年1月24日は刑訴法410条2項により変更された。
規範
- 前訴の訴因と後訴の訴因の間の公訴事実の単一性は、基本的には、前訴・後訴の各訴因のみを基準とし、両者を比較対照して判断する。
- 前訴・後訴の訴因がともに単純窃盗罪であれば、常習性の発露という面は訴因として訴訟手続に上程されていない。常習性を考慮すべき契機がないから、常習特殊窃盗罪による一罪という観点を持ち込むべきではない。
あてはめ
- 別個の機会の単純窃盗罪に係る両訴因は、公訴事実の単一性を欠く。
- よって、前訴の確定判決の一事不再理効は後訴に及ばない。
- 各単純窃盗罪と科刑上一罪の関係にある建造物侵入罪が併せて起訴されていても、結論は同じである。
憲法39条違反の主張
本件各行為は、行為当時の高松高裁判例の下でも犯罪であったから、主張は前提を欠く。
判決文から
「前訴の訴因と後訴の訴因との間の公訴事実の単一性についての判断は,基本的には,前訴及び後訴の各訴因のみを基準としてこれらを比較対照することにより行うのが相当である。」
訴因基準による単一性判断という中核規範
「訴因制度を採用した現行刑訴法の下においては,少なくとも第一次的には訴因が審判の対象であると解されること,犯罪の証明なしとする無罪の確定判決も一事不再理効を有することに加え」
訴因基準を採る理由づけ
「常習特殊窃盗罪は,異なる機会に犯された別個の各窃盗行為を常習性の発露という面に着目して一罪としてとらえた上,刑罰を加重する趣旨の罪であって」
常習特殊窃盗罪の性質論(一部起訴の許容)
「別個の機会に犯された単純窃盗罪に係る両訴因が公訴事実の単一性を欠くことは明らかであるから,前訴の確定判決による一事不再理効は,後訴には及ばないものといわざるを得ない。」
結論部分
「単純窃盗罪が常習性の発露として行われたか否かについて付随的に心証形成をし,両訴因間の公訴事実の単一性の有無を判断すべきであるが」
一方が常習窃盗の訴因である場合との区別
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
