国際運転免許証事件
発給権限のない団体名義で正規の国際運転免許証に酷似する文書を作成した行為は、作成の委託があっても私文書偽造罪にあたる。
出題:司法H25・司法R2・司法R5・予備H25・予備H27・予備R2・予備R4
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 平成14(あ)1164 有印私文書偽造被告事件
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 刑集 第57巻9号987頁
- 参照法条
- 刑法159条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
正規の国際運転免許証に酷似する文書をその発給権限のない団体の名義で作成した行為が私文書偽造罪に当たるとされた事例
裁判要旨
正規の国際運転免許証に酷似する文書をその発給権限のない団体Aの名義で作成した行為は,上記文書が,一般人をして,その発給権限を有する団体であるAにより作成された正規の国際運転免許証であると信用させるに足りるものであるなど判示の事実関係の下では,団体Aから上記文書の作成を委託されていたとしても,私文書偽造罪に当たる。
解説
事案
被告人は、Aらと共謀して国際運転免許証様の文書1通(本件文書)を作成した。被告人らはこの種の文書を顧客に販売することを業としており、本件文書も顧客に交付する目的で作られた。
ジュネーブ条約(1949年)は、締約国等の権限ある当局またはその当局が正当に権限を与えた団体でなければ国際運転免許証を発給できないと定め、その形状・記載内容等の様式も詳細に規定している。我が国は締約国であり、同条約に基づく国際運転免許証は国内で効力を有する。
本件文書は、表紙に英語・仏語で「国際運転免許証」「1949年9月19日国際道路交通に関する条約(国際連合)」等と印字され、形状・記載内容が正規の国際運転免許証に酷似していた。発給者としては「国際旅行連盟」と表示されていた。しかし同連盟が締約国等から発給権限を与えられた事実はなく、被告人もそれを認識していた。被告人は、メキシコに実在する民間団体である国際旅行連盟から作成を委託されていたと弁解した。
争点
- 発給権限のない団体の名義で国際運転免許証様の文書を作成した行為が「偽造」(刑法159条1項)にあたるか
- 名義人から作成の委託(承諾)を受けていた場合でも、人格の同一性を偽ったといえるか(名義人の特定方法)
判旨
上告棄却。有印私文書偽造罪(刑法159条1項)の成立を認めた。
- 規範:私文書偽造の本質は、文書の名義人と作成者との間の人格の同一性を偽る点にある。
- 名義人の特定:名義人は、文書の記載内容・性質に照らして、その文書の社会的信用性を基礎づける属性を含めて特定する。
- あてはめ:本件文書では、ジュネーブ条約に基づく発給権限を有する団体により作成されていることこそが社会的信用性の基礎である。したがって名義人は「ジュネーブ条約に基づく国際運転免許証の発給権限を有する団体である国際旅行連盟」となる。現実の作成者は発給権限のない国際旅行連盟(およびその委託を受けた被告人)であり、名義人と作成者の人格の同一性に齟齬がある。
- 委託があっても同じ:国際旅行連盟が実在の団体で、被告人に作成を委託していたとしても、人格の同一性を偽るものとして偽造にあたる。
判決文から
「私文書偽造の本質は,文書の名義人と作成者との間の人格の同一性を偽る点にあると解される」
偽造の定義。昭和59年判決・平成5年決定を引用
「ジュネーブ条約に基づく国際運転免許証の発給権限を有する団体により作成されているということが,正に本件文書の社会的信用性を基礎付けるものといえる」
権限を名義人の属性に取り込む根拠
「本件文書の名義人は,「ジュネーブ条約に基づく国際運転免許証の発給権限を有する団体である国際旅行連盟」であると解すべきである」
資格・権限を含めた名義人の特定
「国際旅行連盟が実在の団体であり,被告人に本件文書の作成を委託していたとの前提に立ったとしても」
実在・委託があっても偽造が成立する
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
