郵便法違憲判決
憲法17条は立法府への白紙委任ではないとして、郵便法の国家賠償責任の免除・制限規定の一部を違憲無効とした法令違憲判決
出題:司法H23・司法H24・司法R2・司法R4・予備H23・予備H24・予備R3
- 裁判所
- 最高裁判所大法廷
- 事件番号
- 平成11(オ)1767 損害賠償請求事件
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 民集 第56巻7号1439頁
- 参照法条
- 憲法17条,郵便法57条2項,郵便法58条,郵便法66条,郵便法68条,郵便法73条,民訴法99条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
1 郵便法68条及び73条のうち書留郵便物について不法行為に基づく国の損害賠償責任を免除し又は制限している部分と憲法17条 2 郵便法68条及び73条のうち特別送達郵便物について国家賠償法に基づく国の損害賠償責任を免除し又は制限している部分と憲法17条
裁判要旨
1 郵便法68条及び73条の規定のうち,書留郵便物について,郵便の業務に従事する者の故意又は重大な過失によって損害が生じた場合に,不法行為に基づく国の損害賠償責任を免除し,又は制限している部分は,憲法17条に違反する。 2 郵便法68条及び73条の規定のうち,特別送達郵便物について,郵便の業務に従事する者の故意又は過失によって損害が生じた場合に,国家賠償法に基づく国の損害賠償責任を免除し,又は制限している部分は,憲法17条に違反する。 (1,2につき補足意見及び意見がある。)
解説
事案
上告人は、自らを債権者とする債権差押命令を、特別送達郵便物として第三債務者に送達してもらうことになった。ところが郵便業務従事者は、民訴法の定める送達方法によらず、郵便局内にある第三債務者の私書箱にこれを投かんした。そのため送達が遅れ、債権差押えの目的を達することができなかったとして、上告人は国に損害賠償を求めた。
当時の郵便法68条は、国が賠償する場合を書留郵便物の亡失・き損などに限り、金額にも上限を設けていた。同法73条は、請求できる者を差出人かその承諾を得た受取人に限っていた。
原審は、両条は憲法17条に違反しないとした。そのうえで、上告人の主張する事実はそもそも国が賠償責任を負う場合に当たらないとして、事実審理をしないまま請求を棄却した。上告人は、両条が憲法17条に違反すると主張して上告した。
争点
- 憲法17条の「法律の定めるところにより」の意味と、立法裁量の限界
- 公務員の不法行為による国の賠償責任を免除・制限する法律の合憲性をどう判断するか
- 郵便法68条・73条のうち、書留郵便物について故意・重過失による損害まで免責・責任制限する部分の合憲性
- 郵便法68条・73条のうち、特別送達郵便物について軽過失による損害まで免責・責任制限する部分の合憲性
判旨
原判決を破棄し、大阪高裁に差し戻した。
規範
- 憲法17条は、国・公共団体が不法行為責任を負うことを原則としたうえで、どのような行為についてどんな要件で責任を負うかを立法府の政策判断にゆだねたものである。ただし、無制限の裁量を与える白紙委任ではない。
- 免責・責任制限規定が17条に適合するかは、次の事情に応じて判断する。
- 当該行為の態様
- 侵害される法的利益の種類と侵害の程度
- 免責・責任制限の範囲と程度
- そのうえで、規定の目的の正当性と、目的達成手段として免責・責任制限を認めることの合理性・必要性を総合的に考慮する。
あてはめ
- 目的(郵便の役務をなるべく安い料金で、あまねく、公平に提供すること。郵便法1条)は正当である。
- 書留郵便物:軽過失による損害の免責・制限はやむを得ず合憲。しかし故意・重過失による損害まで免責・制限する部分は、17条が与えた裁量の範囲を逸脱し、違憲無効である。
- 特別送達郵便物:軽過失による損害についての免責・制限も裁量の逸脱であり、国家賠償法に基づく責任を免除・制限する部分は違憲無効である。
判決文から
「公務員のどのような行為によりいかなる要件で損害賠償責任を負うかを立法府の政策判断にゆだねたものであって,立法府に無制限の裁量権を付与するといった法律に対する白紙委任を認めているものではない。」
17条の立法裁量に限界があることを示した核心部分
「当該行為の態様,これによって侵害される法的利益の種類及び侵害の程度,免責又は責任制限の範囲及び程度等に応じ,当該規定の目的の正当性並びにその目的達成の手段として免責又は責任制限を認めることの合理性及び必要性を総合的に考慮して判断すべきである」
免責規定の合憲性判断基準。答案にそのまま使える
「郵便業務従事者の故意又は重大な過失による不法行為についてまで免責又は責任制限を認める規定に合理性があるとは認め難い。」
書留について故意・重過失部分を違憲とした理由
「特別送達郵便物については,郵便業務従事者の軽過失による不法行為から生じた損害の賠償責任を肯定したからといって,直ちに,その目的の達成が害されるということはできず,」
特別送達では軽過失の免責も違憲とした理由
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
