預託金会員制ゴルフクラブ事件
固定資産・基本的財産がなくても、収入の仕組みと収支管理体制があれば民訴法29条の「法人でない社団」に当たりうるとした事例
出題:予備R4・予備R8
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 平成13(受)1697 書類等閲覧等請求事件
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 民集 第56巻5号899頁
- 参照法条
- 民訴法29条,民法33条,民法第3編第2章契約
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
預託金会員制のゴルフクラブが民訴法29条にいう「法人でない社団」に当たるとされた事例
裁判要旨
預託金会員制のゴルフクラブにおいて,多数決の原則が行われ,構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し,規約により代表の方法,総会の運営等が定められていること,同クラブには,固定資産又は基本的財産は存しないが,団体として内部的に運営され対外的にも活動するのに必要な収入の仕組みが確保され,かつ,規約に基づいて収支を管理する体制も備わっていること,同クラブが,ゴルフ場経営会社との間でゴルフ場の経営等に関する協約書を調印し,同会社や会員個人とは別個の独立した存在としての社会的実体を有していることなど判示の事情の下においては,上記クラブは,民訴法29条にいう「法人でない社団」に当たる。
解説
事案
Y(株式会社)は預託金会員制ゴルフ場を経営している。X(ゴルフクラブ)はその会員で組織された団体である。Xの規則では、総会は出席会員の過半数で議決し、理事会が運営事項を決め、互選された理事長がXを代表する。他方、Xには固有の事務所も専属の従業員もなく、事業報告はYが作成していた。
Yの元代表取締役による会員権の不正売却を契機に、XY間で協約書が調印された。主な内容は次のとおりである。
- XはYの健全経営に協力し、YはXの快適なプレーに支障を来さない義務を負う
- Xの財務委員会はYの経理内容を調査できる
- 年会費等の収入はすべてYの収入とし、YがXの運営に要する通常経費を負担する
これに伴い規則も改正された。Xには固定資産がなく、財産管理方法の規定もなく、会計業務はすべてYが行い、Xの監事が監査承認していた。通常経費は、Xの予算計上を前提に、活動状況に応じてYから逐次支払われていた。
Xは、協約書上の経理内容調査権(予備的に商法282条2項)に基づき書類謄本の交付を求めて提訴した。第1審・原審は、Xには独立した財政的基盤がなく当事者能力がないとして訴えを却下した。
争点
- 固定資産・基本的財産を有しない団体が民訴法29条の「法人でない社団」に当たるか
- 「法人でない社団」の財産的側面の要件をどう判断するか
判旨
原判決を破棄し、第1審判決を取り消し、第1審(千葉地裁)に差し戻した。
規範
- 民訴法29条の「法人でない社団」に当たるには、次の4点が必要である(最判昭和39年10月15日を参照)。
- 団体としての組織を備えていること
- 多数決の原則が行われていること
- 構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続すること
- 代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定していること
- 財産的側面については、固定資産ないし基本的財産を有することは不可欠の要件ではない。
- 団体として内部的に運営され対外的に活動するのに必要な収入を得る仕組みが確保され、かつその収支を管理する体制が備わっているなど、他の諸事情と併せ総合的に観察して、当事者能力が認められる場合がある。
結論
本件クラブは「法人でない社団」に当たり、当事者能力が認められる。
判決文から
「団体としての組織を備え,多数決の原則が行われ,構成員の変更にかかわらず団体そのものが存続し,その組織において代表の方法,総会の運営,財産の管理その他団体としての主要な点が確定していなければならない」
昭和39年判決の4要件を29条の判断基準として採用
「財産的側面についていえば,必ずしも固定資産ないし基本的財産を有することは不可欠の要件ではなく」
本判決の核心。短答で直接問われる部分
「団体として,内部的に運営され,対外的に活動するのに必要な収入を得る仕組みが確保され,かつ,その収支を管理する体制が備わっているなど,他の諸事情と併せ,総合的に観察して」
財産的側面の代替基準と総合判断の枠組み
「上告人は,被上告人や会員個人とは別個の独立した存在としての社会的実体を有しているというべきである。」
社会的実体の独立性も考慮要素とした
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
