群馬司法書士会事件
被災した他の司法書士会への復興支援寄付は目的の範囲内であり、そのための負担金を徴収する総会決議は会員を拘束するとした判例
出題:司法R5・司法R8・予備H24・予備H30・予備R6
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 平成11(受)743 債務不存在確認請求事件
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 集民 第206号233頁
- 参照法条
- 司法書士法14条,民法43条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
被災した他の司法書士会に金員を寄付するために特別に負担金を徴収する旨の司法書士会の総会決議の効力が同会の会員に対して及ぶとされた事例
裁判要旨
阪神・淡路大震災により被災した兵庫県司法書士会に3000万円の復興支援拠出金を寄付することは群馬司法書士会の権利能力の範囲内の行為であり,そのために登記申請事件1件当たり50円の復興支援特別負担金を徴収する旨の同会の総会決議の効力は,同会の会員に対して及ぶ。 (反対意見がある。)
解説
事案
司法書士法14条に基づいて設立された群馬司法書士会Yは、阪神・淡路大震災で被災した兵庫県司法書士会に3000万円の復興支援拠出金を寄付することを決めた。資金は、役員手当の減額等による一般会計からの繰入金と、会員から登記申請事件1件当たり50円の復興支援特別負担金を3年間徴収して得る収入で賄う旨の総会決議をした。
Yの会員Xらは、次の点などを理由に、決議は無効であり負担金の支払義務はないとして、債務不存在確認を求めた。
- 寄付はYの目的の範囲外の行為である。
- 強制加入団体であるYは、拠出金を調達するために会員に負担を強制できない。
原審の確定事実によれば、本件拠出金は被災司法書士の個人的・物理的被害への直接の金銭補てんや見舞金ではない。被災者の相談活動等を行う兵庫県会やその司法書士を経済的に支援し、司法書士業務の公的機能の回復に役立てる趣旨のものであった。第1審はXらの請求を認め、原審は請求を棄却した。Xらが上告受理を申し立てた。
争点
- 被災した他の司法書士会への3000万円の寄付が、司法書士会の目的の範囲(権利能力の範囲)内の行為か
- 強制加入団体である司法書士会が、寄付の資金調達のため多数決で特別負担金の徴収を決議し、反対会員にも協力義務を負わせることができるか
判旨
上告棄却。寄付は目的の範囲内であり、負担金徴収の総会決議の効力は会員に及ぶ。
- 目的の範囲:司法書士会の目的は、司法書士の品位を保持し業務の改善進歩を図るため、会員の指導・連絡に関する事務を行うことである(司法書士法14条2項)。しかし、その目的を遂行する上で直接又は間接に必要な範囲で、他の司法書士会と業務その他について提携・協力・援助等をすることも活動範囲に含まれる。3000万円はやや多額との見方もありうるが、大災害で早急な支援の必要があったことなどからすれば、金額の大きさだけで目的の範囲を逸脱するとはいえない。
- 協力義務:寄付が権利能力の範囲内にある以上、その調達方法も、公序良俗に反するなど会員の協力義務を否定すべき特段の事情がある場合を除き、多数決原理で自ら決定できる。
- あてはめ:強制加入団体であることを考慮しても、本件負担金の徴収は会員の政治的・宗教的立場や思想信条の自由を害しない。額も平均報酬約2万1000円の0.2%強にあたる50円を3年間徴収するにとどまり、社会通念上過大な負担ではない。よって特段の事情はない。
判決文から
「その目的を遂行する上で直接又は間接に必要な範囲で,他の司法書士会との間で業務その他について提携,協力,援助等をすることもその活動範囲に含まれるというべきである。」
目的の範囲を間接的必要性まで広げる規範
「その金額の大きさをもって直ちに本件拠出金の寄付が被上告人の目的の範囲を逸脱するものとまでいうことはできない。」
金額の多寡だけでは範囲外とならない
「本件拠出金の調達方法についても,それが公序良俗に反するなど会員の協力義務を否定すべき特段の事情がある場合を除き,多数決原理に基づき自ら決定することができるものというべきである。」
協力義務の原則と例外(特段の事情)の規範
「本件負担金の徴収は,会員の政治的又は宗教的立場や思想信条の自由を害するものではなく,」
思想信条への影響がない点が結論を分けた
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
