最判平成14年3月12日
転付命令が第三債務者に送達される時までに差押えをしなかった抵当権者は、物上代位によって転付命令の効力を妨げられない。
出題:司法R3・司法R8・予備R3
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 平成12(受)890 配当異議事件
- 裁判
- 判決・その他
- 判例集
- 民集 第56巻3号555頁
- 参照法条
- 民法304条1項,民法372条,民事執行法159条,民事執行法160条,民事執行法193条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
抵当権の物上代位の目的となる債権に対する転付命令の効力
裁判要旨
抵当権の物上代位の目的となる債権に対する転付命令は,これが第三債務者に送達される時までに抵当権者により当該債権の差押えがなされなかったときは,その効力を妨げられない。
解説
事案
Xは、Dに対する和解調書を債務名義として、Dが愛媛県に対して持つ用地買収の土地残代金債権(甲債権)の全額と、本件建物の補償残金債権(乙債権)の一部について差押命令を得た。差押命令は平成10年3月19日に県へ送達された。Xは続いて同年5月6日に転付命令を得て、これは同月7日に県とDへ送達され、同月20日に確定した。
本件建物には、E・B1・B2がこの順位で抵当権または根抵当権を持ち、登記も備えていた。3者は、物上代位権の行使として乙債権を差し押さえ、その差押命令は同年5月14日に県へ送達された。転付命令の送達より後である。
県が甲・乙債権の全額を供託し、執行裁判所はB1・B2に配当する配当表を作った。Xはこれに異議を申し出て、配当異議の訴えを起こした。原審は最判平成10年1月30日を引用し、物上代位が転付命令に優先するとしてXの請求を棄却した。
争点
- 抵当権の物上代位の目的となりうる債権について一般債権者が転付命令を得た場合に、抵当権者はその後の物上代位による差押えで転付命令の効力を妨げられるか
- 物上代位としての差押えは民事執行法159条3項にいう「差押え」に含まれ、同じ規律に服するか
判旨
結論:破棄自判(原判決・第1審判決を変更)。転付命令に係る部分はXの独占的満足に供される。抵当権者らは、その部分について抵当権の効力を主張できない。
規範:
- 被転付債権が抵当権の物上代位の目的となりうる場合でも、転付命令が第三債務者に送達される時までに抵当権者が被転付債権を差し押さえなかったときは、転付命令の効力を妨げることはできない。
- 差押命令と転付命令が確定したときは、転付命令が第三債務者に送達された時に、被転付債権は差押債権者の債権と執行費用の弁済に充当されたものとみなされる(民事執行法160条)。
- したがって、抵当権者は被転付債権について抵当権の効力を主張できない。
答案では「抵当権者は、転付命令が第三債務者に送達される時までに被転付債権を差し押さえなければ、物上代位権を行使して転付債権者に優先することはできない」と書けばよい。
判決文から
「転付命令が第三債務者に送達される時までに抵当権者が被転付債権の差押えをしなかったときは,転付命令の効力を妨げることはできず」
基準時は転付命令の第三債務者への送達時
「同法159条3項に規定する差押えに物上代位による差押えが含まれることは文理上明らかである」
物上代位の差押えも執行法の規律に服する根拠
「抵当権の物上代位としての差押えについて強制執行における差押えと異なる取扱いをすべき理由はなく,これを反対に解するときは,転付命令を規定した趣旨に反することになるからである」
転付命令の独占的満足という趣旨の重視
「なお,原判決に引用された当審判決は,本件とは事案を異にし,適切ではない。」
債権譲渡の事例(平成10年判決)との区別
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
