最決平成14年10月4日
令状呈示に先立ちマスターキーでホテル客室に入った措置を、必要な処分・呈示時期の両面から適法とした事例
出題:司法H29・予備H27
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 平成14(あ)413 覚せい剤取締法違反被告事件
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 刑集 第56巻8号507頁
- 参照法条
- 刑訴法110条,刑訴法111条1項,刑訴法222条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
捜索差押許可状の呈示に先立ってホテル客室のドアをマスターキーで開けて入室した措置が適法とされた事例
裁判要旨
被疑者が宿泊しているホテル客室に対する捜索差押許可状の執行に当たり,捜索差押許可状の呈示に先立って警察官らがホテル客室のドアをマスターキーで開けて入室した措置は,差押対象物件である覚せい剤を短時間のうちに破棄隠匿されるおそれがあったことなど判示の事情の下では,適法である。
解説
事案
警察官らは、被疑者に対する覚せい剤取締法違反被疑事件について、被疑者が宿泊するホテル客室の捜索差押許可状を得て、被疑者の在室時に執行することにした。
被疑者には覚せい剤事犯の前科があった。そのため、執行の動きを察知されれば、直ちに覚せい剤を洗面所に流すなど、短時間のうちに差押対象物件を破棄隠匿するおそれがあった。
そこで警察官らは、ホテルの支配人からマスターキーを借り受けた。そして来意を告げることなく、施錠された客室のドアをマスターキーで開けて室内に入り、その後直ちに被疑者に捜索差押許可状を呈示して捜索・差押えを実施した。
被告人側は上告し、憲法31条違反などを主張した。最高裁はこれを上告理由に当たらないとしたうえで、職権で捜索差押許可状の執行手続の適否を判断した。
争点
- 令状呈示前にマスターキーで施錠された客室に立ち入る措置が、刑訴法222条1項・111条1項の「必要な処分」として許されるか
- 刑訴法222条1項・110条の令状呈示は執行着手前に行うべきか。入室直後の呈示は適法か
判旨
上告棄却。マスターキーによる入室とその直後の令状呈示は、いずれも適法とした。
- 必要な処分:呈示に先立ちマスターキーで客室ドアを開けて入室した措置は、捜索差押えの実効性を確保するために必要であり、社会通念上相当な態様で行われている。よって刑訴法222条1項・111条1項に基づく処分として許容される。
- 呈示の時期:222条1項・110条の令状呈示は、手続の公正を担保し、処分を受ける者の人権に配慮する趣旨に出たものである。したがって、執行に着手する前の呈示が原則である。
- 例外の許容:もっとも、本件事情の下では、令状の執行に着手して入室し、その直後に呈示することは法意にもとるものではなく、捜索差押えの実効性を確保するためにやむを得ないところであり、適法である。
答案上の規範は、①必要な処分=執行の実効性確保に必要かつ社会通念上相当な態様か、②呈示=原則は着手前、例外として実効性確保のためやむを得ない事情があれば着手直後の呈示も法意にもとらず適法、の二段となる。
判決文から
「捜索差押えの実効性を確保するために必要であり,社会通念上相当な態様で行われていると認められるから,刑訴法222条1項,111条1項に基づく処分として許容される。」
「必要な処分」の判断枠組み(必要性・相当性)
「手続の公正を担保するとともに,処分を受ける者の人権に配慮する趣旨に出たものであるから,令状の執行に着手する前の呈示を原則とすべきであるが」
呈示の趣旨と、事前呈示が原則であること
「警察官らが令状の執行に着手して入室した上その直後に呈示を行うことは,法意にもとるものではなく,捜索差押えの実効性を確保するためにやむを得ないところであって,適法というべきである。」
着手直後の呈示を例外的に許容した部分
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
