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総合設計許可事件

最判平成14年1月22日

総合設計許可の取消訴訟で、建築物の倒壊・炎上等による直接的被害が予想される範囲の居住者・所有者に原告適格を認めた判例

行政法取消訴訟の訴訟要件訴訟参加複数請求訴訟・共同訴訟本試験で 4 問(短答 2・論文 2)

出題:司法H24・司法H26・予備H30・予備R6

裁判所
最高裁判所第三小法廷
事件番号
平成9(行ツ)7 建築基準法に基づく許可処分取消,建築確認処分取消請求事件
裁判
判決・その他
判例集
民集 第56巻1号46頁
参照法条
行政事件訴訟法9条,建築基準法(平成4年法律第82号による改正前のもの)59条の2第1項

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

建築基準法(平成4年法律第82号による改正前のもの)59条の2第1項に基づくいわゆる総合設計許可の取消訴訟と同許可に係る建築物の周辺地域に存する建築物に居住し又はこれを所有する者の原告適格

裁判要旨

建築基準法(平成4年法律第82号による改正前のもの)59条の2第1項に基づくいわゆる総合設計許可に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し又はこれを所有する者は,同許可の取消訴訟の原告適格を有する。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

D生命は、東京都渋谷区の住居地域内の自己所有地に、地上22階建てのタワーを有するオフィスビル等の総合建築物(本件建築物)を計画した。本件建築物は容積率が437.55%で、敷地の容積率制限(323.95%)を超え、南側隣地に係る斜線制限と第3種高度斜線制限にも抵触していた。そこで東京都知事は、建築基準法(平成4年改正前)59条の2第1項に基づき容積率制限・南側隣地斜線制限を緩和する総合設計許可と、第3種高度斜線制限の適用を除外する都市計画許可をした。これにより最高110.25mの建築が可能となり、建築主事は建築確認をした。

周辺住民ら(上告人ら)は、本件建築物から直線距離13.5m〜127.5mの範囲に建築物を所有していた。上告人らは、各許可と建築確認の取消しを求めて提訴した。上告人A1外3名の敷地には冬至日に1〜2時間前後の日影が生じるが、南側のA5外1名の敷地には日影が生じない。

原審の判断は次のとおりである。

  • 総合設計許可:容積率制限・南側隣地斜線制限は公益保護目的にとどまるとして、全員の訴えを却下した。
  • 都市計画許可・建築確認:日照の影響を受けないA5外1名の訴えを却下し、A1外3名の請求は棄却した。

争点

  • 建築基準法59条の2第1項に基づく総合設計許可の取消訴訟において、周辺地域の建築物の居住者・所有者に原告適格(行訴法9条の「法律上の利益」)が認められるか
  • 第3種高度斜線制限の適用除外許可(都市計画許可)について、日影の影響を受けない南側住民にも原告適格が認められるか
  • 建築工事完了後も建築確認の取消しを求める訴えの利益が存続するか

判旨

結論:総合設計許可に係る建築物の倒壊、炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し、またはこれを所有する者は、同許可の取消訴訟の原告適格を有する。

規範

  • 「法律上の利益を有する者」とは、当該処分により自己の権利もしくは法律上保護された利益を侵害され、または必然的に侵害されるおそれのある者をいう。
  • 処分の根拠法規が、不特定多数者の具体的利益を一般的公益に吸収解消させるにとどめず、個々人の個別的利益としても保護する趣旨を含む場合、その利益も法律上保護された利益に当たる。
  • その趣旨を含むかは、当該行政法規の趣旨・目的と、当該行政法規が処分を通して保護しようとしている利益の内容・性質等を考慮して判断する。

あてはめ

  • 上告人ら全員の建築物は、本件建築物が倒壊すれば直接損傷を受ける蓋然性がある範囲内にあるため、総合設計許可について原告適格を有する。
  • 第3種高度斜線制限の適用除外許可についても同様に、日影の生じない南側住民を含め原告適格が認められる。
  • 建築確認は、工事完了により取消しを求める訴えの利益が失われる。

判決文から

「当該処分を定めた行政法規が,不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず,それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には」

原告適格の一般的判断枠組み(法律上保護された利益説)

「当該建築物の倒壊,炎上等による被害が直接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に存する他の建築物についてその居住者の生命,身体の安全等及び財産としてのその建築物を,個々人の個別的利益としても保護すべきものとする趣旨を含む」

保護される個別的利益の内容(生命・身体・財産)

「総合設計許可に係る建築物の倒壊,炎上等により直接的な被害を受けることが予想される範囲の地域に存する建築物に居住し又はこれを所有する者は,総合設計許可の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者として」

原告適格の範囲を画する要旨部分

「建築確認は,それを受けなければ建築基準法6条1項の建築物の建築等の工事をすることができないという法的効果を付与されているにすぎないものというべきであるから,当該工事が完了した場合においては,建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われる」

工事完了による建築確認取消訴訟の訴えの利益消滅

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。