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最判平成13年7月19日

受領権限のある請負代金を欺罔で早く受け取った場合、社会通念上別個の支払といえる程度に早めたときに限り詐欺罪が成立する。

刑法詐欺・恐喝罪本試験で 2 問(短答 2・論文 0)

出題:司法R5・予備R5

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
平成10(あ)806 詐欺被告事件
裁判
判決・破棄差戻
判例集
刑集 第55巻5号371頁
参照法条
刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)246条1項

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

請負人が欺罔手段を用いて請負代金を本来の支払時期より前に受領した場合と刑法246条1項の詐欺罪の成否

裁判要旨

請負人が受領する権利を有する請負代金を欺罔手段を用いて不当に早く受領したとしてその代金全額について刑法246条1項の詐欺罪が成立するには,欺罔手段を用いなかった場合に得られたであろう請負代金の支払とは社会通念上別個の支払に当たるといい得る程度の期間,支払時期を早めたものであることを要する。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被告人両名は、B社が大阪府から請け負ったくい打ち工事の現場所長と主任技術者である。工事で出る汚泥について、府は処理量を約522立方メートルと予想していた。しかし、正規に処理された量は約45立方メートルにとどまり、残りは残土に混ぜて投棄されていた。実際量を申告すれば不法投棄を疑われ、完成検査の合格が留保されたり代金を減額されたりするおそれがある。そこで両名は、525立方メートルが適法に処理されたとする内容虚偽の処理券を作らせ、完成検査で提出した。府の検査員らは誤信して検査を合格させ、府は工事完成払金7288万円をB社の口座に振替送金した。

  • 第1審:支払時期を不当に早めたとして詐欺罪の成立を認めた。
  • 原審:汚泥処理費の実際額が見積額を大幅に下回った以上、請負代金は減額されるべきだったとして、別の理由で有罪とした。
  • 最高裁:職権で原判決を破棄し、差し戻した。

争点

  • 定額・一括請負契約で汚泥処理費の実額が見積額を下回り、不法投棄もあった場合に、発注者に請負代金の減額請求権が生じるか
  • 請負人が本来受領する権利を有する請負代金を、欺罔手段を用いて本来の支払時期より早く受領した場合に、詐欺罪(刑法246条1項)が成立するための要件

判旨

原判決を破棄し、大阪高裁に差し戻した。

  • 減額請求権の否定:本件は競争入札による定額・一括請負契約で、代金総額しか定めがない。そのため、特段の約定がない限り、汚泥処理費の実額が見積額を大幅に下回っても発注者は減額請求できない。また、場外搬出した汚泥を関係法令に従って処分したか否かは公法上の義務の問題で、代金請求権と対価関係に立たない。よって、減額請求権を前提に騙取を認めた原判決は是認できない。
  • 規範:請負人が本来受領する権利を有する請負代金を欺罔手段で不当に早く受領した場合、その代金全額について詐欺罪が成立することがある。ただしそのためには、欺罔手段を用いなかった場合に得られたであろう請負代金の支払とは社会通念上別個の支払に当たるといい得る程度の期間、支払時期を早めたことを要する。
  • あてはめ:第1審は支払時期をどの程度早めたかを認定しておらず、判示として不十分である。記録上もその程度は明らかでない。

判決文から

「請負人が本来受領する権利を有する請負代金を欺罔手段を用いて不当に早く受領した場合には,その代金全額について刑法246条1項の詐欺罪が成立することがある」

権利があっても代金全額について詐欺罪が成立しうることを示す

「欺罔手段を用いなかった場合に得られたであろう請負代金の支払とは社会通念上別個の支払に当たるといい得る程度の期間支払時期を早めたものであることを要すると解するのが相当である。」

支払時期繰上げ型で詐欺罪が成立するための限定基準

「場外搬出した汚泥の処分を関係法令に従って行ったか否かということは,業者としての公法上の義務に係るものであって,請負代金の支払請求権とは対価関係に立つものでなく」

減額請求権を否定し、原判決の構成を退けた理由

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。