最判平成13年7月10日
被相続人の占有で取得時効が完成した場合、共同相続人の一人は自己の相続分の限度でのみ時効を援用できる。
出題:司法H23・司法R1・司法R8
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 平成11(受)223 土地所有権移転登記手続請求事件
- 裁判
- 判決・破棄差戻
- 判例集
- 集民 第202号645頁
- 参照法条
- 民法145条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
被相続人の占有により取得時効が完成した場合において共同相続人の1人が取得時効を援用することができる限度
裁判要旨
被相続人の占有により取得時効が完成した場合において,その共同相続人の1人は,自己の相続分の限度においてのみ取得時効を援用することができる。
解説
事案
Dは昭和35年6月28日から本件土地建物に住んで占有を始め、20年後の昭和55年6月28日当時も占有を続けていた。本件不動産の登記名義人は、昭和35年6月28日付の売買を原因として所有権移転登記を受けたDの弟(上告人)である。Dは昭和62年に死亡し、法定相続人は妻E、長男F、二男(被上告人)、長女Gの4人であった。
被上告人は、Dの占有によって完成した取得時効を援用した。そのうえで上告人に対し、本件不動産の全部について、取得時効を原因とする自己への所有権移転登記手続を求めた。原審(東京高裁)は、Dが時効取得したとして請求を全部認容した。最高裁はこれを破棄し、差し戻した。
争点
- 被相続人の占有により取得時効が完成した場合に、共同相続人の一人が取得時効を援用できる範囲(民法145条)
- 共同相続人の一人が時効の援用によって目的不動産の全部の所有権を取得できるか
判旨
結論:原判決を破棄し、差し戻した。
規範
- 時効の完成により利益を受ける者は、自己が直接に受けるべき利益の存する限度で時効を援用できる。
- したがって、被相続人の占有により取得時効が完成した場合、共同相続人の一人は、自己の相続分の限度においてのみ取得時効を援用できる。
あてはめ:相続人間で本件不動産の全部を被上告人が取得する旨の遺産分割協議が成立したなどの事情があれば別である。そのような事情がない限り、被上告人は、Dの占有で完成した取得時効の援用によって本件不動産全部の所有権を取得することはできない。全部について登記請求を認めた原審には、民法145条の解釈適用の誤りがある。
遺産分割協議の成否など、相続人間での帰属を審理させるため、原審に差し戻した。
判決文から
「時効の完成により利益を受ける者は自己が直接に受けるべき利益の存する限度で時効を援用することができるものと解すべきであって」
援用の範囲を画する一般的な基準
「自己の相続分の限度においてのみ取得時効を援用することができるにすぎないと解するのが相当である。」
共同相続人の援用範囲を示した結論部分
「Dの法定相続人の間で本件不動産の全部を被上告人が取得する旨の遺産分割協議が成立したなどの事情があれば格別,そのような事情がない限り,」
遺産分割で全部取得する場合の例外を示す
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
