最判平成13年3月13日
物上代位による賃料差押え後は、賃借人は抵当権設定登記後に取得した債権による相殺を抵当権者に対抗できない
出題:司法H24・司法H25・司法H26・司法R3・司法R8・予備H26・予備R3
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 平成11(受)1345 取立債権請求事件
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第55巻2号363頁
- 参照法条
- 民法304条1項,民法372条,民法505条,民事執行法193条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
抵当不動産の賃借人が抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって賃料債権に物上代位権の行使としての差押えをした抵当権者に対抗することの可否
裁判要旨
抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は,抵当不動産の賃借人は,抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって,抵当権者に対抗することはできない。
解説
事案
上告人(賃借人)は、D建築株式会社(賃貸人)との間で本件建物の賃貸借契約を締結していた。本件建物には被上告人のために根抵当権が設定され、その登記がされていた。上告人は、本件根抵当権設定登記の後にD社に対する債権を取得した。上告人とD社は、この債権とD社の上告人に対する賃料債権とを対当額で相殺する旨を、あらかじめ合意していた。
その後、被上告人は根抵当権に基づく物上代位権を行使して、賃料債権を差し押さえた。被上告人が賃借人である上告人に取立てを求めたのが本件訴訟(取立債権請求事件)である。上告人は相殺合意に基づく相殺を主張した。
原審(大阪高裁)は、差押え後に発生した賃料債権については、相殺合意に基づく相殺を被上告人に対抗できないと判断した。上告人が上告受理を申し立てた。
争点
- 物上代位権の行使として賃料債権が差し押さえられた後、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする相殺を抵当権者に対抗できるか
- 賃借人と賃貸人があらかじめ相殺合意をしていた場合、差押え後に発生する賃料債権について、その合意の効力を抵当権者に対抗できるか
判旨
上告棄却(全員一致)。
- 規範1:抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は、抵当不動産の賃借人は、抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって、抵当権者に対抗することはできない。
- 差押え前:物上代位権の行使としての差押えがされる前は、賃借人のする相殺は何ら制限されない。
- 規範2(相殺合意):賃借人と賃貸人が、賃借人の債権と賃料債権を対当額で相殺する旨をあらかじめ合意していた場合も同じである。賃借人の債権が抵当権設定登記後に取得されたものであれば、差押え後に発生する賃料債権については、物上代位をした抵当権者に相殺合意の効力を対抗できない。
- 基準時:決め手は、自働債権の取得時期と抵当権設定登記の先後である。
判決文から
「抵当権者が物上代位権を行使して賃料債権の差押えをした後は,抵当不動産の賃借人は,抵当権設定登記の後に賃貸人に対して取得した債権を自働債権とする賃料債権との相殺をもって,抵当権者に対抗することはできない」
本判決の中心規範。答案にそのまま書ける
「物上代位権の行使としての差押えのされる前においては,賃借人のする相殺は何ら制限されるものではない」
差押え前の相殺は自由という時的限界
「物上代位により抵当権の効力が賃料債権に及ぶことは抵当権設定登記により公示されているとみることができる」
登記を基準とする理由(公示)
「物上代位権の行使としての差押えがされた後に発生する賃料債権については,物上代位をした抵当権者に対して相殺合意の効力を対抗することができない」
相殺予約・合意にも射程が及ぶ
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
