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国際航業事件

最決平成13年11月5日

会社防衛の意図が併存しても、専ら会社のためとはいえない事情があれば不法領得の意思を肯定。法令違反の一事では肯定しない

刑法横領・背任罪本試験で 3 問(短答 3・論文 0)

出題:司法H25・司法R2・予備R2

裁判所
最高裁判所第二小法廷
事件番号
平成8(あ)267 所得税法違反,業務上横領被告事件
裁判
決定・棄却
判例集
刑集 第55巻6号546頁
参照法条
刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)253条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

業務上横領罪における不法領得の意思が肯定された事例

裁判要旨

株式会社の取締役経理部長が会社の株式の買占めに対抗するための工作費用として会社の資金を第三者に交付した場合において,会社の不利益を回避する意図を有していたとしても,交付金額が高額であるなど交付行為が会社にとって重大な経済的負担を伴い,違法行為を目的とするものとされるおそれもあったのに,交付の相手方や工作の具体的内容等につき調査をしたり,その結果の報告を求めたりした形跡がうかがわれず,また自己の弱みを隠す意図等をも有していたなどの事情(判文参照)の下においては,交付の意図は専ら会社のためにするところにはなく,業務上横領罪における不法領得の意思があったと認められる。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被告人はA社の取締役経理部長で、経理部次長Bとともに、A社の資金の調達運用や金銭の出納保管の業務に従事していた。Cが、A社の株式を買い占めて経営権を奪おうとしていた。被告人はこれに対抗するため、Bと共謀し、FらにC側の株買占めの妨害工作を依頼した。工作の内容は、Cの取引先金融機関に融資をしないよう圧力をかけること、Cを中傷する文書を頒布すること、買占め株式を放出させることなどである。被告人は、支出権限がないのに、業務上保管中のA社の現金を工作資金・報酬としてFらに交付した。経理部長在任中に6回・計8億9500万円、解任後にBが保管する現金を3回・計2億8000万円で、合計11億7500万円である。
被告人は、これより前にC側と通じてA社株を売買し、多額の売却益とC側からの約2億3000万円の分配を得ていた。その後C側から裏切り者として脅迫を受けており、最初の交付は最初の脅迫の直後であった。第1審は専らA社のための交付として不法領得の意思を否定した。原審はこれを肯定して業務上横領罪を認めた。

争点

  • 会社の不利益を回避する意図を併せ持って会社資金を交付した場合に、業務上横領罪(刑法253条)の不法領得の意思が認められるか
  • 交付行為やその目的が違法で、会社自体も行い得ないものであることから、直ちに不法領得の意思を認めることができるか

判旨

上告棄却(業務上横領罪成立)。

  • 規範:交付の意図が専ら会社(委託者)のためにするところにあったとすれば、不法領得の意思は認められず、業務上横領罪は成立しない。
  • あてはめ:次の事情を総合すると、交付の意図は専ら会社のためにするところにはなかった。よって不法領得の意思を認めた原判決の結論は正当である。
  • 被告人が会社の不利益を回避する意図を有していたことは否定されない。
  • しかし交付は高額で、会社に重大な経済的負担を伴い、違法行為を目的とするとされるおそれもあった。
  • それなのに、交付先の調査、工作内容・成功見込みの確認、事後の報告徴求をした形跡がほとんどなく、その合理的理由もない。
  • 自己の弱みを隠す意図等も加わっていた。
  • 傍論的判示:行為が違法で会社として行い得ないことは、不法領得の意思を推認させる一事情にはなり得る。しかし、商法その他の法令に違反するという一事から直ちに不法領得の意思を認めることはできない。

判決文から

「被告人の計9回の現金交付(以下「本件交付」という。)の意図が専らAのためにするところにあったとすれば,不法領得の意思を認めることはできず,業務上横領罪の成立は否定される。」

「専ら本人のため」なら不法領得の意思を否定する規範

「会社のためにこのような金員の交付をする者としては,通常,交付先の素性や背景等を慎重に調査し,」

通常とるべき行動との対比で主観を認定する手法

「当該行為ないしその目的とするところが違法であるなどの理由から委託者たる会社として行い得ないものであることは,行為者の不法領得の意思を推認させる1つの事情とはなり得る。」

違法性は推認の一事情にとどまる

「その行為が商法その他の法令に違反するという一事から,直ちに行為者の不法領得の意思を認めることはできないというべきである。」

原審の「会社自体も行い得ない」論を否定

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。