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最決平成13年10月25日

12歳10か月の長男に強盗を指示命令した母親について、間接正犯でも教唆犯でもなく強盗の共同正犯を認めた事例

刑法共同正犯教唆・幇助・共犯の諸問題抵当権本試験で 12 問(短答 11・論文 1)

出題:司法H22・司法H24・司法H25・司法H28・司法R1・司法R2・司法R5・司法R7・司法R8・予備H25・予備R8

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
平成12(あ)1859 強盗被告事件
裁判
決定・棄却
判例集
刑集 第55巻6号519頁
参照法条
刑法41条,刑法60条,刑法61条,刑法236条1項

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

刑事未成年者に指示命令して強盗を実行させた者につき強盗の共同正犯が成立するとされた事例

裁判要旨

A子が生活費欲しさから強盗を計画し,12歳10か月の長男Bに指示命令して強盗を実行させた場合においても,当時Bには是非弁別の能力があり,A子の指示命令はBの意思を抑圧するに足る程度のものではなく,Bは自らの意思によりその実行を決意した上,臨機応変に対処して強盗を完遂し,Bが奪ってきた金品をすべてA子が領得したなど判示の事実関係の下では,A子につき強盗の間接正犯又は教唆犯ではなく共同正犯が成立する。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

スナックのホステスであった被告人は、生活費に困り、同スナックの経営者C子から金品を奪おうと考えた。そこで、自宅にいた長男B(当時12歳10か月、中学1年生)に対し、「ママのところに行ってお金をとってきて。映画でやっているように、金だ、とか言って、モデルガンを見せなさい。」などと言い、覆面をしてエアーガンを突き付けて脅迫する方法で金品を奪ってくるよう指示命令した。

Bは嫌がったが、被告人は「大丈夫。お前は、体も大きいから子供には見えないよ。」などと説得し、あらかじめ用意した覆面用ビニール袋やエアーガン等を渡した。承諾したBは一人でスナックに行き、覆面をして指示どおりの方法でC子を脅迫した。さらに自己の判断で出入口のシャッターを下ろし、「トイレに入れ。殺さないから入れ。」などと脅してトイレに閉じ込めるなどして反抗を抑圧した。こうして現金約40万1000円やショルダーバッグ等を強取した。被告人は帰宅したBからこれらを受け取り、現金を生活費等に使った。

争点

  • 刑事未成年者(刑法41条)に指示命令して犯罪を実行させた者に間接正犯が成立するか
  • 間接正犯が否定される場合に、背後者は教唆犯(刑法61条)か共同正犯(刑法60条)か

判旨

上告は棄却された。職権判断により、被告人には強盗罪(刑法236条1項)の共同正犯(刑法60条)が成立するとした。

  • 間接正犯の否定:Bには是非弁別能力があった。被告人の指示命令はBの意思を抑圧するに足る程度のものではなかった。Bは自らの意思で実行を決意し、臨機応変に対処して強盗を完遂した。これらの事情から、間接正犯は成立しない。
  • 教唆犯ではなく共同正犯:被告人は生活費欲しさから強盗を計画した。Bに犯行方法を教え、犯行道具を与えて実行を指示命令した。Bが奪ってきた金品はすべて自分のものにした。これらから、教唆犯ではなく共同正犯が成立する。
  • 答案用の規範:刑事未成年者を利用した場合でも当然に間接正犯となるわけではない。被利用者の是非弁別能力の有無、指示命令が意思を抑圧する程度か、被利用者が自らの意思で実行を決意したか、によって判断する。間接正犯が否定された後は、犯行の計画・準備への関与の程度と利益の帰属などから、正犯性(共同正犯)か教唆かを区別する。

判決文から

「本件当時Bには是非弁別の能力があり,被告人の指示命令はBの意思を抑圧するに足る程度のものではなく,Bは自らの意思により本件強盗の実行を決意した上,臨機応変に対処して本件強盗を完遂したことなどが明らかである。」

間接正犯を否定した判断要素の列挙

「Bに対し犯行方法を教示するとともに犯行道具を与えるなどして本件強盗の実行を指示命令した上,Bが奪ってきた金品をすべて自ら領得した」

共同正犯(正犯性)を基礎づけた事情

「被告人については本件強盗の教唆犯ではなく共同正犯が成立するものと認められる。」

教唆と共同正犯の区別についての結論

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。