バックホー事件
民法194条で引渡しを拒める占有者は、代価弁償の提供まで使用収益権を持ち、盗品の返還後も代価弁償を請求できるとした判例
出題:司法R3・司法R7
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 平成10(受)128 動産引渡請求本訴、代金返還請求反訴事件
- 裁判
- 判決・その他
- 判例集
- 民集 第54巻5号1737頁
- 参照法条
- 民法194条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 民法一九四条に基づき盗品等の引渡しを拒むことができる占有者と右盗品等の使用収益権 二 盗品の占有者がその返還後にした民法一九四条に基づく代価弁償請求が肯定される場合
裁判要旨
一 盗品又は遺失物の占有者は、民法一九四条に基づき右盗品等の引渡しを拒むことができる場合には、代価の弁償の提供があるまで右盗品等の使用収益権を有する。 二 盗品の占有者が民法一九四条に基づき盗品の引渡しを拒むことができる場合において、被害者が代価を弁償して盗品を回復することを選択してその引渡しを受けたときには、占有者は、盗品の返還後、同条に基づき被害者に対して代価の弁償を請求することができる。
解説
事案
Xは土木機械(バックホー)を所有していたが、平成6年10月末ころ盗取された。Yは同年11月、無店舗で中古土木機械の販売業等を営むEから、これを300万円で買い受けて代金を支払い、引渡しを受けた。その際Yは、Eに処分権限があると信じ、そう信じたことに過失はなかった。
Xは平成8年8月、所有権に基づく引渡しと使用利益相当額の支払を求めて提訴した。Yは、民法194条に基づき、300万円の代価弁償がない限り引き渡さないと主張した。
第1審は、300万円の支払との引換給付判決をした上、訴え提起時からの使用利益について月30万円の不当利得返還を命じた。Yは負担の増大を避けるため、控訴審係属中に代価の支払を受けないままバックホーをXに引き渡した。その後、Xは使用利益の返還または賃料相当損害金を本訴で請求し、Yは代価300万円と遅延損害金を反訴で請求した。
原審は、民法189条2項・190条1項により使用利益の返還義務を認め、反訴は反訴状送達の翌日からの遅延損害金の限度で認容した。
争点
- 民法194条に基づき引渡しを拒める占有者は、代価弁償までの使用利益を被害者に返還すべきか(189条2項・190条の適用の可否)
- 盗品を代価弁償を受けずに返還した占有者が、返還後に194条に基づき代価弁償を請求できるか
- 代価弁償債務が遅滞に陥る時期
判旨
原判決を変更し、Xの本訴請求を棄却し、Yの反訴請求(300万円と引渡日の翌日からの遅延損害金)を認容した。
規範1(使用収益権)
- 被害者等の回復請求に対し、占有者が民法194条に基づき代価弁償まで盗品等の引渡しを拒むことができる場合には、占有者は弁償の提供があるまで盗品等の使用収益を行う権限を有する。
- したがって、使用利益の不当利得返還請求も、賃料相当損害金の不法行為請求も成り立たない。
規範2(返還後の代価弁償請求)
- 被害者が、回復をあきらめるか代価を弁償して回復するかを選択しうる状況下で、代価弁償による回復を選択して引渡しを受けたときは、占有者は返還後も194条に基づき代価弁償を請求できる。
- これと抵触する大審院判例は変更する。
遅滞時期
- 代価弁償債務は期限の定めのない債務であり、民法412条3項により履行の請求時から遅滞となる。
- 本件では、引渡しの時に履行の請求があったと解される。
判決文から
「占有者が民法一九四条に基づき支払った代価の弁償があるまで盗品等の引渡しを拒むことができる場合には、占有者は、右弁償の提供があるまで盗品等の使用収益を行う権限を有すると解するのが相当である。」
要旨1の規範。答案にそのまま書ける
「被害者等が代価の弁償を選択した場合には代価弁償以前の使用利益を喪失するというのでは、占有者の地位が不安定になること甚だしく、両者の保護の均衡を図った同条の趣旨に反する結果となるからである。」
194条の趣旨(保護の均衡)からの理由づけ
「弁償される代価には利息は含まれないと解されるところ、それとの均衡上占有者の使用収益を認めることが両者の公平に適うというべきである。」
利息と使用利益の均衡という第2の理由
「上告人は、本件バックホーの返還後においても、なお民法一九四条に基づき被上告人に対して代価の弁償を請求することができるものと解するのが相当である。」
要旨2。返還後の代価弁償請求を肯定
「代価弁償債務は期限の定めのない債務であるから、民法四一二条三項により被上告人は上告人から履行の請求を受けた時から遅滞の責を負うべきであり」
遅滞時期の規範
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
