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最判平成12年6月13日

逮捕直後の初回接見の申出には、時間を指定してでも即時又は近接した時点での接見を認めるべきであり、翌日指定は国賠法上違法とした判例

刑事訴訟法接見交通権人身の自由本試験で 4 問(短答 4・論文 0)

出題:司法H22・予備R3・予備R6・予備R8

裁判所
最高裁判所第三小法廷
事件番号
平成7(オ)105 損害賠償請求事件
裁判
判決・その他
判例集
民集 第54巻5号1635頁
参照法条
国家賠償法1条1項 刑訴法39条1項、刑訴法39条3項 憲法34条前段

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一 弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者から被疑者の逮捕直後に初回の接見の申出を受けた捜査機関が接見の日時等の指定に当たって採るべき措置 二 被疑者の依頼により弁護人となろうとする者から被疑者の逮捕直後に初回の接見の申出を受けた捜査機関が接見の日時を翌日に指定した措置が国家賠償法一条一項にいう違法な行為に当たるとされた事例

裁判要旨

一 弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者から被疑者の逮捕直後に初回の接見の申出を受けた捜査機関は、即時又は近接した時点での接見を認めても接見の時間を指定すれば捜査に顕著な支障が生じるのを避けることが可能なときは、留置施設の管理運営上支障があるなど特段の事情のない限り、被疑者の引致後直ちに行うべきものとされている手続及びそれに引き続く指紋採取、写真撮影等所要の手続を終えた後、たとい比較的短時間であっても、時間を指定した上で即時又は近接した時点での接見を認める措置を採るべきである。 二 接見の日時等の指定をする権限を有する司法警察職員が、逮捕された被疑者の依頼により弁護人となろうとする者として逮捕直後に警察署に赴いた弁護士から初回の接見の申出を受けたのに対し、接見申出があってから約一時間一〇分が経過した時点に至って、警察署前に待機していた弁護士に対して接見の日時を翌日に指定した措置は、即時又は近接した時点での接見を認めても接見の時間を指定すれば捜査に顕著な支障が生じるのを避けることが可能であるにもかかわらず、犯罪事実の要旨の告知等引致後直ちに行うべきものとされている手続及びそれに引き続く写真撮影等所要の手続が終了した後も弁護士と協議することなく取調べを継続し、その後被疑者の夕食のために取調べが中断されたのに、夕食前の取調べの終了を早めたり、夕食後の取調べの開始を遅らせたりして接見させることをしなかったなど判示の事情の下においては、国家賠償法一条一項にいう違法な行為に当たる。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被疑者A1は、平成2年10月10日午後3時53分ころ、東京都公安条例違反(デモ行進の許可条件違反)の容疑で現行犯逮捕され、午後4時10分ころ築地警察署に引致された。A1は弁解録取の際、救援連絡センターの弁護士を弁護人に選任する旨を述べた。

同センターの弁護士A2は、午後4時35分ころ、捜査主任官D課長に即時の接見を申し出た。Dは「取調べ中なのでしばらく待ってほしい」と繰り返した。A1は午後4時45分ころ写真撮影に続いて取調べを受け、午後5時28分ころ夕食のため留置された。

Dは午後5時45分ころ、A2に対し接見の日時を翌日午前10時以降に指定し、A2は午後6時ころ引き揚げた。ところが、取調官は夕食中に実況見分の応援に赴いた。そのため夕食終了(午後6時15分ころ)後も取調べは行われず、午後8時ころその日の取調べ自体が中止された。

A1・A2が東京都に国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求めた。原審は請求を棄却し、最高裁は原判決を破棄して第一審の認容判決を維持した。

争点

  • 刑訴法39条3項は憲法34条に違反するか(大法廷判例の確認)
  • 逮捕直後の初回接見の申出を受けた捜査機関は、接見指定に当たってどのような措置を採るべきか
  • 本件の翌日への接見指定は刑訴法39条3項ただし書に違反し、国家賠償法1条1項の違法に当たるか

判旨

結論:本件の翌日指定は刑訴法39条3項に違反し、国家賠償法1条1項の違法な行為に当たる。D課長の過失も認められる。

接見指定の要件(最大判平成11年3月24日を踏襲)

  • 「捜査のため必要があるとき」とは、接見等を認めると取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に限られる。
  • 現に取調べ中の場合や、間近い時に取調べ等の確実な予定がある場合は、原則としてこれに当たる。
  • 指定する場合も、弁護人等と協議してできる限り速やかな日時等を指定しなければならない。

初回接見の規範

  • 逮捕直後の初回接見の申出を受けた捜査機関は、接見指定の要件が具備された場合でも、弁護人となろうとする者と協議しなければならない。
  • そのうえで、即時又は近接した時点での接見を認めても、接見の時間を指定すれば捜査に顕著な支障が生じるのを避けられるかを検討する。
  • 避けられるときは、留置施設の管理運営上支障があるなど特段の事情のない限り、引致後直ちに行うべき手続(犯罪事実の要旨の告知等)と、それに続く指紋採取・写真撮影等の所要の手続を終えた後、たとい比較的短時間でも時間を指定して即時又は近接した時点での接見を認めるべきである。
  • 取調べを理由にこれを拒否して初回接見を遅らせることは、防御の準備をする権利を不当に制限する。

判決文から

「刑訴法三九条三項本文にいう「捜査のため必要があるとき」とは、右接見等を認めると取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に限られる。」

接見指定要件(大法廷判例の規範)の確認

「直ちに弁護人に依頼する権利を与えられなければ抑留又は拘禁されないとする憲法上の保障の出発点を成すものであるから、これを速やかに行うことが被疑者の防御の準備のために特に重要である。」

初回接見の重要性を憲法34条と結びつけた核心部分

「たとい比較的短時間であっても、時間を指定した上で即時又は近接した時点での接見を認めるようにすべきであり」

捜査機関が採るべき措置の具体的内容

「被疑者の取調べを理由として右時点での接見を拒否するような指定をし、被疑者と弁護人となろうとする者との初回の接見の機会を遅らせることは、被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限するものといわなければならない。」

39条3項ただし書違反となる場合の明示

「そのような可能性があったというだけでは、現に築地署に赴いて接見を申し出ている上告人A2と上告人A1との当日の接見を全面的に拒否しなければならないような顕著な捜査上の支障があったとはいえない。」

抽象的な捜査予定では当日の接見拒否は正当化されない

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。