最決平成12年4月14日
抵当不動産の賃借人が取得する転貸賃料債権への物上代位は、賃借人を所有者と同視できる場合を除き否定される。
出題:司法R3・司法R5・司法R8・予備R3
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 平成11(許)23 債権差押命令に対する執行抗告棄却決定に対する許可抗告事件
- 裁判
- 決定・破棄差戻
- 判例集
- 民集 第54巻4号1552頁
- 参照法条
- 民法304条1項・民法372条・民法613条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
抵当不動産の賃借人が取得する転貸賃料債権について抵当権者が物上代位権を行使することの可否
裁判要旨
抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得する転貸賃料債権について物上代位権を行使することができない。
解説
事案
相手方(保証会社)は、Dの銀行に対する借入債務について保証委託契約を締結した。昭和63年、DとFが共有する本件建物(3階建店舗兼共同住宅)に、Dに対する求償債権等を被担保債権とする根抵当権(極度額1億9800万円)の設定を受け、登記を経由した。
平成9年10月28日、相手方は保証債務を弁済し、Dに対して約7216万円の求償債権を取得した。同じ日、GがDらから本件建物を買い受けた。Gは同月31日に本件建物を抗告人に賃貸し、抗告人は建物のうち7室を第三債務者らに転貸した。
相手方は、根抵当権に基づく物上代位権の行使として、抗告人の転借人らに対する転貸賃料債権の差押命令を得た。抗告人は執行抗告をした。
原審(東京高裁)は、民法304条1項の「債務者」には所有者(設定者・第三取得者)のほか、抵当権設定後の賃借人も含まれるとして、抗告を棄却した。抗告人が許可抗告をした。
争点
- 民法372条により抵当権に準用される民法304条1項の「債務者」に、抵当不動産の賃借人(転貸人)が含まれるか
- 抵当権者は、抵当不動産の賃借人が取得する転貸賃料債権について物上代位権を行使できるか(できるとすればどのような場合か)
判旨
原決定を破棄し、差し戻した。
- 原則:民法372条・304条1項の「債務者」には、原則として抵当不動産の賃借人(転貸人)は含まれない。したがって、抵当権者は賃借人が取得すべき転貸賃料債権に物上代位権を行使できない。
- 例外:抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合には、転貸賃料債権への物上代位が許される。その例として、所有者の取得すべき賃料を減少させ、又は抵当権の行使を妨げるために、法人格を濫用し、又は賃貸借を仮装したうえで転貸借関係を作出した場合などが挙げられる。
本件では、抗告人が本件建物の所有者と同視すべき者かどうかを審理させるため、原審に差し戻した。
判決文から
「民法三七二条によって抵当権に準用される同法三〇四条一項に規定する「債務者」には、原則として、抵当不動産の賃借人(転貸人)は含まれないものと解すべきである。」
「債務者」の解釈という原則論の核心
「所有者は被担保債権の履行について抵当不動産をもって物的責任を負担するものであるのに対し、抵当不動産の賃借人は、このような責任を負担するものではなく、自己に属する債権を被担保債権の弁済に供されるべき立場にはないからである。」
物的責任の有無による所有者と賃借人の区別
「正常な取引により成立した抵当不動産の転貸借関係における賃借人(転貸人)の利益を不当に害することにもなる。」
転貸人の利益保護という実質的理由
「所有者の取得すべき賃料を減少させ、又は抵当権の行使を妨げるために、法人格を濫用し、又は賃貸借を仮装した上で、転貸借関係を作出したものであるなど」
例外(所有者と同視)の具体例・当てはめの指標
「抵当権者は、抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き、右賃借人が取得すべき転貸賃料債権について物上代位権を行使することができないと解すべきであり」
答案に書くべき規範そのもの
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
