最決平成12年3月10日
必要性欠如による文書提出命令却下には独立の不服申立てができないとし、「技術又は職業の秘密」の意義を示した決定
出題:司法H23・司法H24・司法H27・司法R3・司法R8・予備H23・予備H24・予備R5
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 平成11(許)20 文書提出命令申立て却下決定に対する許可抗告事件
- 裁判
- 決定・その他
- 判例集
- 民集 第54巻3号1073頁
- 参照法条
- 民訴法197条1項3号,民訴法220条4号ロ,民訴法221条,民訴法223条4項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
一 証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対し不服の申立てをすることの許否 二 民訴法一九七条一項三号所定の「技術又は職業の秘密」の意義
裁判要旨
一 証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、右必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない。 二 民訴法一九七条一項三号所定の「技術又は職業の秘密」とは、その事項が公開されると、当該技術の有する社会的価値が下落しこれによる活動が困難になるもの又は当該職業に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になるものをいう。
解説
事案
電話機器類(本件機器)を購入して利用していたXらが、本件機器にはしばしば通話不能になる瑕疵があるなどと主張し、Y(相手方)に対し、不法行為等に基づく損害賠償を求めた。
Xらは、瑕疵を立証するため、本件機器の回路図及び信号流れ図(本件文書)について文書提出命令を申し立てた。これに対しYは、本件文書は次の文書に当たるから提出義務を負わないと主張した。
- 当時の民訴法220条4号ロ(197条1項3号の事項で黙秘義務が免除されていないものが記載された文書)
- 同号ハ(自己利用文書)
原審(大阪高裁)は、次のとおり判断して申立てを却下した。
- 本件文書にはメーカーのノウハウ等の技術上の情報が記載されており、明らかにされるとメーカーが著しく不利益を受けると予想されるから、4号ロに当たる。
- 本件文書は外部の者に見せることを全く予定していないから、4号ハにも当たる。
Xらが許可抗告した。抗告理由には、証拠調べの必要性に関する不服も含まれていた。
争点
- 証拠調べの必要性を欠くことを理由とする文書提出命令申立て却下決定に対し、必要性があることを理由として独立に不服申立てができるか
- 民訴法197条1項3号の「技術又は職業の秘密」の意義と、その該当性判断の方法
- 自己利用文書(当時の民訴法220条4号ハ)該当性の判断方法
判旨
結論:回路図・信号流れ図に関する部分を破棄・差戻しとした。その余(必要性に関する抗告)は却下した。
規範1(不服申立て)
- 証拠調べの必要性を欠くことを理由とする文書提出命令申立ての却下決定に対しては、必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできない。
規範2(技術又は職業の秘密)
- 民訴法197条1項3号の「技術又は職業の秘密」とは、その事項が公開されると、①当該技術の有する社会的価値が下落し、これによる活動が困難になるもの、又は②当該職業に深刻な影響を与え、以後その遂行が困難になるもの、をいう。
- 技術上の情報が記載されていることから直ちに該当するのではない。情報の種類・性質と、開示による不利益の具体的内容の主張・認定が必要である。
規範3(自己利用文書)
- 最決平成11年11月12日の判断枠組み(内部利用目的・外部非開示性+看過し難い不利益+特段の事情)によって判断する。
- 外部に見せる予定がないことだけで該当性を認めることはできない。
判決文から
「証拠調べの必要性を欠くことを理由として文書提出命令の申立てを却下する決定に対しては、右必要性があることを理由として独立に不服の申立てをすることはできないと解するのが相当である。」
要旨一。必要性を理由とする独立の不服申立てを否定
「民訴法一九七条一項三号所定の「技術又は職業の秘密」とは、その事項が公開されると、当該技術の有する社会的価値が下落しこれによる活動が困難になるもの又は当該職業に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になるものをいうと解するのが相当である。」
要旨二。職業秘密の定義として答案にそのまま使える
「相手方は、情報の種類、性質及び開示することによる不利益の具体的内容を主張しておらず、原決定も、これらを具体的に認定していない。」
該当性には具体的な主張・認定が必要とした点
「本件文書に右技術上の情報が記載されていることから直ちにこれが「技術又は職業の秘密」を記載した文書に当たるということはできない。」
技術情報の記載だけでは秘密に当たらないとした点
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
