最決平成12年2月17日
選挙長の立候補届出受理事務は、強制力を行使する権力的公務ではないから、業務妨害罪(刑法233条・234条)の「業務」に当たる。
刑法公務執行妨害・職務に関する罪自由・名誉・信用に対する罪本試験で 2 問(短答 2・論文 0)
出題:司法R3・司法R7
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 平成9(あ)324 業務妨害被告事件
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 刑集 第54巻2号38頁
- 参照法条
- 刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)233条,刑法(平成7年法律第91号による改正前のもの)234条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
公職選挙法上の選挙長の立候補届出受理事務と業務妨害罪にいう「業務」
裁判要旨
公職選挙法上の選挙長の立候補届出受理事務は、業務妨害罪にいう「業務」に当たる。
解説
事案
被告人は、公職選挙法上の選挙長が行う立候補届出の受理事務を妨害したとして、業務妨害罪(平成7年法律第91号による改正前の刑法233条・234条)で起訴された。
- 原審(大阪高裁)は、この受理事務が233条・234条にいう「業務」に当たると判断した。
- 弁護人は、判例違反、法令違反、事実誤認を理由に上告した。
- 最高裁は、上告趣意はいずれも刑訴法405条の上告理由に当たらないとした。そのうえで「なお」書きの職権判断で、受理事務の業務性について判断を示した。
争点
- 公務員が行う公務(公職選挙法上の選挙長の立候補届出受理事務)が、業務妨害罪(刑法233条・234条)の「業務」に当たるか
- 公務が「業務」に含まれるかを分ける基準は何か
判旨
上告棄却。
- 結論:公職選挙法上の選挙長の立候補届出受理事務は、刑法233条・234条にいう「業務」に当たる。
- 規範:公務であっても、強制力を行使する権力的公務でなければ、業務妨害罪の「業務」に当たる。
- 選挙長の立候補届出受理事務は強制力を行使する権力的公務ではない。したがって「業務」に当たるとした原判断は正当である。
- 本決定はこの判断にあたり、最大判昭和41年11月30日と最決昭和62年3月12日を参照している。
判決文から
「本件において妨害の対象となった職務は、公職選挙法上の選挙長の立候補届出受理事務であり」
妨害の対象となった公務を特定した部分
「右事務は、強制力を行使する権力的公務ではないから、右事務が刑法(平成七年法律第九一号による改正前のもの)二三三条、二三四条にいう「業務」に当たるとした原判断は、正当である」
「強制力を行使する権力的公務か否か」という判断基準
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