安藤・斎藤事件
刑訴法39条3項本文の接見指定は憲法34条前段・37条3項・38条1項に違反しないとし、指定の要件を示した大法廷判決
出題:司法H22・司法H28・予備H24・予備H30・予備R6・予備R8
- 裁判所
- 最高裁判所大法廷
- 事件番号
- 平成5(オ)1189 損害賠償
- 裁判
- 判決・その他
- 判例集
- 民集 第53巻3号514頁
- 参照法条
- 憲法34条前段,憲法37条3項,憲法38条1項,刑訴法39条3項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
刑訴法三九条三項本文と憲法三四条前段、三七条三項、三八条一項
裁判要旨
刑訴法三九条三項本文の規定は、憲法三四条前段、三七条三項、三八条一項に違反しない。
解説
事案
捜査機関による接見等の制限をめぐる損害賠償請求事件の上告審である。原審(仙台高裁)は、刑訴法39条3項本文が憲法34条前段、37条3項、38条1項に違反しないと判断した。
上告理由第二点の主張は次のとおりである。
- 身体拘束中の被疑者と弁護人等との接見等を捜査機関が一方的に制限できるとする同項本文は、憲法34条前段に違反する。
- 憲法37条3項は被疑者にも適用されるから、同条項にも違反する。
- 憲法38条1項は接見交通権も保障しているから、同条項にも違反する。
- 逮捕・勾留中の被疑者に取調べ受忍義務はない。被疑者が望めばいつでも取調べを中断しなければならないので、取調べは接見制限の理由にならない。
大法廷は、この上告理由第二点(憲法問題)について判断した。
争点
- 刑訴法39条3項本文は憲法34条前段(弁護人依頼権)に違反するか
- 憲法37条3項は公訴提起前の被疑者にも適用されるか
- 憲法38条1項から被疑者の接見交通権の保障が当然に導かれるか
- 身体拘束中の被疑者に出頭・滞留義務を認めることは供述拒否の自由を奪うか
- 接見指定の要件である「捜査のため必要があるとき」の意義
判旨
刑訴法39条3項本文は、憲法34条前段、37条3項、38条1項に違反しない。
接見交通権の位置づけ
- 憲法34条前段は、弁護人を選任したうえで弁護人から援助を受ける機会を持つことを実質的に保障している。
- 刑訴法39条1項の接見交通権は、この憲法の保障に由来する。
- もっとも、接見交通権は捜査権に絶対的に優先するものではない。弁護人依頼権の趣旨が実質的に損なわれない限り、法律で調整規定を設けることは許される。
接見指定の規範(答案用)
- 捜査機関は、弁護人等から接見等の申出があったときは、原則としていつでも接見等の機会を与えなければならない。
- 「捜査のため必要があるとき」とは、接見等を認めると取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に限られる。
- 次の場合は、原則としてこれに当たる。
- 現に被疑者を取調べ中である場合
- 実況見分・検証等に立ち会わせている場合
- 間近い時に取調べ等の確実な予定があり、申出どおりの接見を認めると予定どおり開始できなくなるおそれがある場合
- 要件を満たして指定する場合でも、捜査機関は弁護人等と協議して、できる限り速やかな接見等の日時等を指定し、被疑者が防御の準備をできる措置を採らなければならない。
判決文から
「被疑者に対し、弁護人を選任した上で、弁護人に相談し、その助言を受けるなど弁護人から援助を受ける機会を持つことを実質的に保障しているものと解すべきである。」
憲法34条前段は援助を受ける機会を実質的に保障する
「接見交通権が憲法の保障に由来するからといって、これが刑罰権ないし捜査権に絶対的に優先するような性質のものということはできない。」
捜査権との合理的調整を認める前提
「捜査機関は、弁護人等から被疑者との接見等の申出があったときは、原則としていつでも接見等の機会を与えなければならないのであり」
接見自由が原則であることを明示
「同条三項本文にいう「捜査のため必要があるとき」とは、右接見等を認めると取調べの中断等により捜査に顕著な支障が生ずる場合に限られ」
接見指定要件の規範(答案必須)
「捜査機関は、弁護人等と協議してできる限り速やかな接見等のための日時等を指定し、被疑者が弁護人等と防御の準備をすることができるような措置を採らなければならない」
指定時の捜査機関の義務
「身体の拘束を受けている被疑者に取調べのために出頭し、滞留する義務があると解することが、直ちに被疑者からその意思に反して供述することを拒否する自由を奪うことを意味するものでないことは明らかであるから」
出頭・滞留義務と供述拒否権の関係
「同条三項も公訴提起後の被告人に関する規定であって、これが公訴提起前の被疑者についても適用されるものと解する余地はない。」
憲法37条3項は被疑者に適用されない
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
