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最大判平成11年11月24日

抵当不動産の不法占有者に対し、抵当権者は所有者の妨害排除請求権を代位行使し、直接自己への明渡しを求めうるとした大法廷判決

民法物権総論・物権変動その他の担保物権抵当権本試験で 3 問(短答 3・論文 0)

出題:司法H28・司法H30・司法R3

裁判所
最高裁判所大法廷
事件番号
平成8(オ)1697 建物明渡請求事件
裁判
判決・棄却
判例集
民集 第53巻8号1899頁
参照法条
民法369条,民法423条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一 抵当権者が抵当不動産の所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することの可否  二 抵当権者が権利の目的である建物の所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使して直接抵当権者に建物を明け渡すよう求めることができるとされた事例

裁判要旨

一 第三者が抵当不動産を不法占有することにより、競売手続の進行が害され適正な価額よりも売却価額が下落するおそれがあるなど、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権者は、抵当不動産の所有者に対して有する右状態を是正し抵当不動産を適切に維持又は保存するよう求める請求権を保全するため、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができる。  二 建物を目的とする抵当権を有する者がその実行としての競売を申し立てたが、第三者が建物を権原なく占有していたことにより、買受けを希望する者が買受け申出をちゅうちょしたために入札がなく、その後競売手続は進行しなくなって、建物の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となる状態が生じているなど判示の事情の下においては、抵当権者は、建物の所有者に対して有する右状態を是正するよう求める請求権を保全するため、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使し、所有者のために建物を管理することを目的として、不法占有者に対し、直接抵当権者に建物を明け渡すよう求めることができる。 (一、二につき補足意見がある。)

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被上告人(根抵当権者)は、E所有の土地建物に極度額3500万円の根抵当権の設定を受け、Eに2800万円を貸し付けた。上告人らは平成5年5月ころから本件建物を権原なく占有している。

被上告人は、期限の利益喪失後に根抵当権の実行としての競売を申し立て、開始決定がされた。しかし、上告人らの占有のために買受希望者が買受け申出をちゅうちょし、開札期日に入札がなく、その後競売手続は進行していない。

そこで被上告人は、被担保債権(貸金債権)の保全を理由に、Eの所有権に基づく妨害排除請求権を代位行使して、上告人らに本件建物の明渡しを求めた。

原審は、代位行使の必要性を認めたうえ、明渡し先はEに限られず、被上告人自身への明渡しも求めうるとして請求を認容した。上告人らが上告した。

争点

  • 第三者による抵当不動産の不法占有が抵当権侵害となるか
  • 抵当権者が所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使(民法423条)できるか。できるとして、被保全債権は何か
  • 代位行使の際、抵当権者は直接自己への明渡しを求めることができるか
  • 抵当権に基づく妨害排除請求の可否(最判平成3年3月22日の変更)

判旨

上告棄却(請求認容の原審を結論において是認)。

  • 抵当権侵害:第三者が抵当不動産を不法占有することにより、競売手続の進行が害され適正な価額よりも売却価額が下落するおそれがあるなど、抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、抵当権侵害と評価しうる。
  • 代位行使:この場合、抵当権者は抵当権の効力として、所有者に対し、上記状態を是正し抵当不動産を適切に維持・保存するよう求める請求権を有する。この請求権を保全する必要があるときは、民法423条の法意に従い、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使できる。
  • 直接の明渡し:本件事情の下では、所有者のために建物を管理することを目的として、不法占有者に対し直接抵当権者に明け渡すよう求めることができる。
  • なお書き:上記状態があるときは、抵当権に基づく妨害排除請求も許される。最判平成3年3月22日は、これと抵触する限度で変更する。

判決文から

「抵当権者は、原則として、抵当不動産の所有者が行う抵当不動産の使用又は収益について干渉することはできない。」

非占有担保という原則の確認(例外の前提)

「抵当不動産の交換価値の実現が妨げられ抵当権者の優先弁済請求権の行使が困難となるような状態があるときは、これを抵当権に対する侵害と評価することを妨げるものではない。」

抵当権侵害の判断基準

「抵当権者は、右請求権を保全する必要があるときは、民法四二三条の法意に従い、所有者の不法占有者に対する妨害排除請求権を代位行使することができると解するのが相当である。」

代位行使を認めた中心規範(要旨第一)

「抵当権に基づく妨害排除請求として、抵当権者が右状態の排除を求めることも許されるものというべきである。」

抵当権自体に基づく妨害排除を肯定(判例変更)

「Eのために本件建物を管理することを目的として、上告人らに対し、直接被上告人に本件建物を明け渡すよう求めることができるものというべきである。」

直接自己への明渡しと管理目的(要旨第二)

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。