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最判平成11年1月29日

将来債権譲渡は、締結時に目的債権の発生可能性が低くても当然には無効とならないとした判例

民法債権譲渡・債務引受本試験で 2 問(短答 1・論文 1)

出題:司法R1

裁判所
最高裁判所第三小法廷
事件番号
平成9(オ)219 供託金還付請求権確認
裁判
判決・破棄自判
判例集
民集 第53巻1号151頁
参照法条
民法466条,健康保険法43条ノ9第5項,社会保険診療報酬支払基金法13条1項

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一 将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約の締結時における目的債権の発生の可能性の程度と右契約の効力 二 医師が社会保険診療報酬支払基金から将来支払を受けるべき診療報酬債権を目的とする債権譲渡契約の効力を否定した原審の判断に違法があるとされた事例

裁判要旨

一 将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約の締結時において目的債権の発生の可能性が低かったことは、右契約の効力を当然には左右しない。 二 医師が社会保険診療報酬支払基金から将来八年三箇月の間に支払を受けるべき各月の診療報酬債権の一部を目的として債権譲渡契約を締結した場合において、右医師が債務の弁済のために右契約を締結したとの一事をもって、契約締結後六年八箇月目から一年の間に発生すべき目的債権につき契約締結時においてこれが安定して発生することが確実に期待されたとはいえないとし、他の事情を考慮することなく、右契約のうち右期間に関する部分の効力を否定した原審の判断には、違法がある。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

診療所を経営する医師Dは、昭和57年11月16日、債権者である上告人との間で、上告人の債権の回収を目的として契約(本件契約)を結んだ。内容は、同年12月1日から平成3年2月28日までの約8年3箇月の間に社会保険診療報酬支払基金から支払を受けるべき診療報酬債権を、月ごとに定めた額(合計約7946万円)で上告人に譲渡するというものである。昭和57年11月24日、確定日付のある証書で基金に通知がされた。

その後、Dが国税を滞納した。仙台国税局長は平成元年5月25日、平成元年7月1日から平成2年6月30日までの診療報酬債権(本件債権部分)を差し押さえた。基金は債権者不確知等を理由に約519万円を供託し、国はDの供託金還付請求権を差し押さえた。

国(被上告人)は、本件契約のうち譲渡開始から1年を超えて弁済期が到来する部分は無効だと主張し、還付請求権について取立権を有することの確認を求めた。原審は請求を認容した。

争点

  • 将来発生すべき債権を目的とする債権譲渡契約は、どのような場合に有効か
  • 契約締結時に目的債権の発生可能性が低かったことは、契約の効力に影響するか
  • 長期にわたる将来債権譲渡の効力が否定されるのはどのような場合か

判旨

原判決を破棄し、第一審判決を取り消して、国の請求を棄却した。

  • 特定性:将来の一定期間内に発生し、または弁済期が到来すべき債権を譲渡する場合は、期間の始期と終期を明確にするなどして、目的債権が特定されている必要がある。
  • 発生可能性:契約締結時に目的債権の発生可能性が低かったことは、契約の効力を当然には左右しない。
  • 例外:次の事情を総合的に考慮する。
  • 契約締結時の譲渡人の資産状況
  • 譲渡人の営業等の推移の見込み
  • 契約内容
  • 契約締結の経緯
  • その結果、期間の長さ等の契約内容が、譲渡人の営業活動等に社会通念上相当な範囲を著しく逸脱する制限を加えるか、または他の債権者に不当な不利益を与えるなどの特段の事情がある場合には、公序良俗違反(民法90条)などとして、効力の全部または一部が否定されうる。
  • あてはめ:本件では、期間・額は明確に特定され、対抗要件も具備している。医師が債務の弁済のためにこのような契約を締結したという一事だけでは、特段の事情があるとはいえない。

判決文から

「適宜の方法により右期間の始期と終期を明確にするなどして譲渡の目的とされる債権が特定されるべきである。」

将来債権譲渡の有効要件としての特定性

「譲受人に生ずる不利益については譲渡人の契約上の責任の追及により清算することとして、契約を締結するものと見るべきである」

発生可能性を有効要件としない理由

「右契約の締結時において右債権発生の可能性が低かったことは、右契約の効力を当然に左右するものではないと解するのが相当である。」

本判決の中心となる規範

「右期間の長さ等の契約内容が譲渡人の営業活動等に対して社会通念に照らし相当とされる範囲を著しく逸脱する制限を加え、又は他の債権者に不当な不利益を与えるものであると見られるなどの特段の事情」

例外的に効力が否定される場面の基準

「右契約は公序良俗に反するなどとして、その効力の全部又は一部が否定されることがあるものというべきである。」

限界づけの法的根拠と一部無効の可能性

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。