志免町給水拒否事件
水需給がひっ迫した町が、分譲業者による420戸分のマンション給水申込みを拒んだことに水道法15条1項の「正当の理由」を認めた
出題:予備H24・予備R6
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 平成7(オ)2122 給水契約上の地位確認等
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第53巻1号13頁
- 参照法条
- 水道法2条,水道法2条の2第1項,水道法15条1項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
水道事業者である町が水道水の需要の増加を抑制するためマンション分譲業者との給水契約の締結を拒否したことに水道法一五条一項にいう「正当の理由」があるとされた事例
裁判要旨
水道事業を経営する町がマンション分譲業者からの四二〇戸分の給水契約の申込みに対し契約の締結を拒んだことは、当該町が、全国有数の人口過密都市であり今後も人口の集積が見込まれ、認可を受けた水源のみでは現在必要とされる給水量を賄うことができず、認可外の水源から取水して給水量を補っているが当該取水は不安定であり、多額の財政的負担をして種々の施策を執ってきているが容易に右状況が改善されることは見込めず、このまま漫然と新規の給水申込みに応じていると近い将来需要に応じきれなくなり深刻な水不足を生ずるこが予測されるという判示の事実関係の下においては、新たな給水申込みのうち、需要量が特に大きく、住宅を供給する事業を営む者が住宅を分譲する目的であらかじめしたものについて給水契約の締結を拒むことにより、急激な水道水の需要の増加を抑制するためのやむを得ない措置であって、右の措置には水道法一五条一項にいう「正当の理由」があるものというべきである。
解説
事案
不動産売買等を業とする会社Xが、Y町の水道事業の給水区域内にマンション建設を計画し、建築予定戸数420戸分の給水を申し込んだ。Y町は、町の給水規則3条の2第1項(20戸を超える開発行為・建築や、20戸を超える共同住宅等には全戸給水しない旨の規定)を根拠に、給水契約の締結を拒否した。Xは、この拒否は水道法15条1項に違反するとして、給水申込みの承諾等を求めて訴えを提起した。
Y町は全国有数の人口過密都市で、福岡市のベッドタウンとして今後も人口集積が見込まれていた。一方で、固有の認可水源の取水能力は低下し、企業団からの受水もダムの完成遅れで増量の見込みがなく、他町からの受水も停止していた。このため、河川法上の水利権のない認可外水源からの不安定な取水で給水量を補っていた。Y町は水道管の更新、浄水場の増改修、貯水池の増設などに多額の費用を投じていたが、状況の早期改善は困難であった。原審はXの請求を認めなかった。
争点
- 水道法15条1項にいう「正当の理由」の意義
- 水需給のひっ迫を理由とする、大規模分譲目的の新規給水申込みに対する給水契約締結拒否に「正当の理由」があるか
判旨
上告棄却(給水拒否は適法)。
- 規範1:水道法15条1項の「正当の理由」とは、水道事業者の正常な企業努力にもかかわらず給水契約の締結を拒まざるを得ない理由をいう。その具体的内容は、同項の趣旨・目的のほか、法全体の趣旨・目的や関連規定に照らして合理的に解釈する。
- 規範2:市町村は、中長期的視点に立った適正かつ合理的な供給計画で対応できる限り、給水申込みに応ずる義務を負い、みだりに拒否できない。しかし給水義務は絶対的ではない。申込みがその供給計画によって対応できないものである場合には、「正当の理由」があるとして拒否できる。
- 当てはめ:水不足が確実に予見される地域では、まず給水量の増加策を執るべきである。それでも深刻な水不足が避けられないときは、需要抑制策として、需要量が特に大きく、住宅供給業者が分譲目的であらかじめした申込みを拒むことも、やむを得ない措置として「正当の理由」がある。本件申込みは420戸の分譲目的であり、建築を数年度に分け井戸水を併用する計画であったことを考慮しても、拒否には「正当の理由」がある。
判決文から
「法一五条一項にいう「正当の理由」とは、水道事業者の正常な企業努力にもかかわらず給水契約の締結を拒まざるを得ない理由を指すものと解される」
「正当の理由」の定義。答案の規範部分
「当該供給計画によって対応することができる限り、給水契約の申込みに対して応ずべき義務があり、みだりにこれを拒否することは許されないものというべきである。」
給水義務の原則を確認する部分
「給水契約の申込みが右のような適正かつ合理的な供給計画によっては対応することができないものである場合には、法一五条一項にいう「正当の理由」があるものとして、これを拒むことが許される」
給水義務の限界(拒否可能な場合)を示す
「需要量が特に大きく、現に居住している住民の生活用水を得るためではなく住宅を供給する事業を営む者が住宅分譲目的でしたものについて、給水契約の締結を拒むことにより、急激な需要の増加を抑制することには」
拒否が許される申込みの類型を限定している
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
