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最判平成10年9月10日

共同不法行為者の一人との訴訟上の和解による免除は、債権者に他の者の残債務も免除する意思があれば他の者にも及ぶ

民法不法行為訴訟行為・期日期間多数当事者の債権債務・保証本試験で 3 問(短答 3・論文 0)

出題:司法H29・予備H29・予備R5

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
平成9(オ)448 損害賠償
裁判
判決・その他
判例集
民集 第52巻6号1494頁
参照法条
民法437条,民法442条,民法719条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一 共同不法行為者の一人と被害者との間で成立した訴訟上の和解における債務の免除の効力が他の共同不法行為者に対しても及ぶ場合 二 共同不法行為者の一人と被害者との間で成立した訴訟上の和解における債務の免除の効力が他の共同不法行為者に対しても及ぶ場合における求償金額の算定

裁判要旨

一 甲と乙が共同の不法行為により丙に損害を加えたが、甲と丙との間で成立した訴訟上の和解により、甲が丙の請求額の一部につき和解金を支払うとともに、丙が甲に対し残債務を免除した場合において、丙が右訴訟上の和解に際し乙の残債務をも免除する意思を有していると認められるときは、乙に対しても残債務の免除の効力が及ぶ。 二 共同不法行為者の一人甲と被害者丙との間で成立した訴訟上の和解により、甲が丙の請求額の一部につき和解金を支払うとともに、丙が甲に対し残債務を免除した場合において、他の共同不法行為者乙に対しても残債務の免除の効力が及ぶときは、甲の乙に対する求償金額は、確定した損害額である右訴訟上の和解における甲の支払額を基準とし、双方の責任割合に従いその負担部分を定めて、これを算定すべきである。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被上告人(自動車販売会社)が平成6年に吸収合併したD中部販売の従業員で、同社の営業所長であったEは、販売実績を仮装した穴埋めのため、架空のオートローン契約を利用することを企てた。Eは自動車販売業者である上告人に協力を依頼し、上告人はその了承のもと、信販会社Iと仮装の買主33名との架空ローン契約を仲介した。Iは合計約3303万円を上告人に立替払し、上告人はほぼ全額をEに交付した。Eと上告人の責任割合は6対4である。

Iは上告人に対し、債務不履行に基づく損害賠償を求めて別件訴訟を提起した。その訴訟で、上告人が2000万円の支払義務を認め、Iは「その余の請求を放棄する」との訴訟上の和解が成立し、上告人は2000万円を支払った。そこで上告人は、Eの使用者である被上告人に対し、Eの負担部分について1600万円の求償を求めた。

原審は、Iの損害額(遅延損害金を含め約4288万円)を基準に上告人の負担部分を算定し、約185万円の限度でのみ求償を認めた。

争点

  • 共同不法行為者の一人と被害者との訴訟上の和解における債務の免除の効力が、他の共同不法行為者(その使用者)に及ぶか
  • 免除の効力が他の共同不法行為者に及ぶ場合、求償金額は何を基準に算定すべきか

判旨

原判決を一部破棄し、差し戻した。

  • 規範1:共同不法行為者甲・乙の損害賠償債務は不真正連帯債務であるから、民法437条(免除の絶対効)は適用されない。したがって、甲と被害者との訴訟上の和解で被害者が甲の残債務を免除しても、乙に当然に免除の効力が及ぶものではない。しかし、被害者が和解に際し乙の残債務をも免除する意思を有していると認められるときは、乙に対しても残債務の免除の効力が及ぶ。
  • 規範2:上記の場合、甲の乙に対する求償金額は、確定した損害額である訴訟上の和解における甲の支払額を基準とし、双方の責任割合に従って負担部分を定めて算定する。
  • 以上の理は、被用者と第三者の共同不法行為で、第三者が使用者に被用者の負担部分を求償する場合も同様である。
  • 本件では、Iが被上告人の残債務も免除する意思を有していたかを審理せずに求償額を算定した原審には、法令の解釈適用の誤りと審理不尽の違法がある。

判決文から

「連帯債務における免除の絶対的効力を定めた民法四三七条の規定は適用されず、乙に対して当然に免除の効力が及ぶものではない」

不真正連帯債務では免除は当然には絶対効をもたない

「被害者が、右訴訟上の和解に際し、乙の残債務をも免除する意思を有していると認められるときは、乙に対しても残債務の免除の効力が及ぶものというべきである。」

債権者の意思解釈で免除効が他の者に及ぶとする規範

「乙はもはや被害者から残債務を訴求される可能性はないのであるから」

和解額を求償の基準とする理由

「甲の乙に対する求償金額は、確定した損害額である右訴訟上の和解における甲の支払額を基準とし、双方の責任割合に従いその負担部分を定めて、これを算定するのが相当であると解される。」

求償額算定の基準を示した部分

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。