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最判平成10年6月22日

詐害行為の受益者は、取消債権者の被保全債権の消滅時効を援用できるとし、大審院判例を変更した判決

民法時効本試験で 3 問(短答 3・論文 0)

出題:司法H23・司法H28・司法R4

裁判所
最高裁判所第二小法廷
事件番号
平成6(オ)586 所有権移転登記抹消登記手続
裁判
判決・破棄差戻
判例集
民集 第52巻4号1195頁
参照法条
民法145条,民法424条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

詐害行為の受益者と取消債権者の債権の消滅時効の援用

裁判要旨

詐害行為の受益者は、詐害行為取消権を行使する債権者の債権の消滅時効を援用することができる。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

  • XはF社に対し、金銭消費貸借・準消費貸借に基づく合計2150万円の債権を持っていた。あわせて、F社の連帯保証人である代表取締役Eに対し、同額の連帯保証債務履行請求権を持っていた。
  • XはEに対し、Eの依頼で立て替えた費用約1190万円の求償債権も持っていた。
  • 多額の債務を負っていたEは、他の債権者を害することを知りながら、Yとの間で自己所有の不動産の贈与契約を結び、Yへ所有権移転登記をした。
  • XはYを被告として、詐害行為取消権(民法424条)に基づき、贈与契約の取消しと所有権移転登記の抹消登記手続を求めた。
  • Yは消滅時効を援用した。F社への債権は期限の定めのない商事債権で5年の経過により消滅し、したがってEの連帯保証債務も消滅した。Eへの求償債権は立替後10年の経過により消滅した、という主張である。
  • 原審は、Yは受益者にすぎず被保全債権の消滅時効を援用できる立場にないとして抗弁を退け、Xの請求を認容した。Yが上告した。

争点

  • 詐害行為の受益者は、詐害行為取消権を行使する債権者の債権(被保全債権)の消滅時効を援用できるか(民法145条の「当事者」の範囲)
  • 被保全債権が連帯保証債務履行請求権である場合、受益者は主たる債務の消滅時効を援用できるか

判旨

結論:詐害行為の受益者は、詐害行為取消権を行使する債権者の債権の消滅時効を援用できる。原判決を破棄し、差し戻した。

規範

  • 民法145条により消滅時効を援用できる「当事者」は、権利の消滅によって直接利益を受ける者に限られる。
  • 受益者は次の3点から、債権者の債権の消滅によって直接利益を受ける者にあたる。
  • 取消権行使の直接の相手方である。
  • 取消権が行使されると、詐害行為によって得た利益を失う。
  • 反対に、被保全債権が消滅すれば、その利益喪失を免れる地位にある。

本件へのあてはめ

  • Yは、Eに対する求償債権の消滅時効を援用できる。
  • F社に対する債権が消滅すればEの連帯保証債務も当然に消滅する。そのため、YはF社に対する債権(主たる債務)の消滅時効も援用できる。
  • これと異なる大審院昭和3年11月8日判決は変更された。

判決文から

「民法一四五条所定の当事者として消滅時効を援用し得る者は、権利の消滅により直接利益を受ける者に限定される」

援用権者の一般的判断基準(直接受益者基準)

「詐害行為の受益者は、詐害行為取消権行使の直接の相手方とされている上、これが行使されると債権者との間で詐害行為が取り消され、同行為によって得ていた利益を失う関係にあり」

受益者を直接受益者と認める理由づけの核心

「これと見解を異にする大審院の判例(大審院昭和三年(オ)第九〇一号同年一一月八日判決・民集七巻九八〇頁)は、変更すべきものである。」

受益者の援用を否定した大審院判例の変更

「右債権が消滅すれば亡Eに対する連帯保証債務履行請求権は当然に消滅するので、その消滅時効を援用し得るというべきである」

保証債務の附従性から主債務の時効援用も肯定

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。