最判平成10年6月12日
債権譲渡の通知は、譲渡行為とは別個の対抗要件にすぎないから、詐害行為取消権行使の対象とならない。
出題:司法H25・司法H26・司法H29・司法R4・司法R8・予備H26・予備H30・予備R6・予備R8
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 平成8(オ)1307 供託金還付請求権確認請求本訴、詐害行為取消請求反訴
- 裁判
- 判決・破棄自判
- 判例集
- 民集 第52巻4号1121頁
- 参照法条
- 民法424条,民法467条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
債権譲渡の通知に対する詐害行為取消権行使の可否
裁判要旨
債権譲渡の通知は、詐害行為取消権行使の対象とすることができない。
解説
事案
XはA社(D製本所)に920万円を貸し付けた。その担保として、AがB社(E書店)に対して有する、または将来取得する売掛代金債権全部を、貸金債務の不履行を停止条件としてXに譲渡する契約を結んだ(本件債権譲渡契約)。条件が成就したときは、あらかじめ作成交付を受けた譲渡通知書をXがAとの連名で送付すると合意していた。
その後、Y1・Y2がAに金銭を貸し付けた。Aは手形不渡りを出し、Xへの弁済も怠った。Xは条件成就を理由に、確定日付ある連名の譲渡通知を内容証明郵便でBに送り、通知はBに到達した。同じ代金債権についてYらへの譲渡通知もされたが、いずれもXの通知より遅れて到達した。Bは債権者不確知を理由に代金を供託した。
Xが本訴で供託金還付請求権の確認を求めた。これに対しY1・Y2は、反訴で本件譲渡通知の詐害行為取消しを求めた。原審は、責任財産を減少させる準法律行為にも民法424条が準用されるとし、通知時にAは無資力で詐害の認識もあったとして反訴を認容し、本訴を棄却した。
争点
- 債権譲渡の通知(確定日付のある通知)は詐害行為取消権(民法424条)の対象となるか
- 譲渡行為自体が詐害行為を構成しない場合に、通知のみを切り離して取り消すことができるか
判旨
原判決を破棄し、第一審判決を取り消した。そのうえで、Xの本訴請求(供託金還付請求権の確認)を認容し、Yらの反訴請求を棄却した(破棄自判)。
規範:債務者が自己の第三者に対する債権を譲渡した場合に、債務者がこれについてした確定日付のある債権譲渡の通知は、詐害行為取消権行使の対象とならない。
- 詐害行為取消権の対象は、債務者の財産の減少を目的とする行為そのものである。
- 譲渡通知は、譲渡行為とは別個の、対抗要件を生じさせる行為にすぎない。
- したがって、譲渡行為自体が詐害行為を構成しないときに、通知のみを切り離して取り消すことはできない。
本件では、Xは譲渡を受けたうえ、Yらに先立って対抗要件を具備した。よって、Xが供託金の還付請求権を有する。
判決文から
「債務者が自己の第三者に対する債権を譲渡した場合において、債務者がこれについてした確定日付のある債権譲渡の通知は、詐害行為取消権行使の対象とならないと解するのが相当である。」
本判決の結論部分(規範)
「詐害行為取消権の対象となるのは、債務者の財産の減少を目的とする行為そのものであるところ、債権の譲渡行為とこれについての譲渡通知とはもとより別個の行為であって」
取消対象の限定と、譲渡と通知の別個性
「後者は単にその時から初めて債権の移転を債務者その他の第三者に対抗し得る効果を生じさせるにすぎず」
通知は対抗要件にすぎないという位置づけ
「債権譲渡行為自体が詐害行為を構成しない場合には、これについてされた譲渡通知のみを切り離して詐害行為として取り扱い、これに対する詐害行為取消権の行使を認めることは相当とはいい難い」
通知だけを切り離した取消しを否定
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
