最判平成10年3月26日
配当異議の申出をしなかった一般債権者は、配当を受けた他の債権者に対し不当利得返還請求できない
出題:司法R3・司法R5・予備R3
- 裁判所
- 最高裁判所第一小法廷
- 事件番号
- 平成8(オ)983 不当利得
- 裁判
- 判決・棄却
- 判例集
- 民集 第52巻2号513頁
- 参照法条
- 民法703条,民事執行法84条1項,民事執行法85条,民事執行法89条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
配当期日に配当異議の申出をしなかった一般債権者が配当を受けた他の債権者に対して不当利得返還請求をすることの可否
裁判要旨
配当期日において配当異議の申出をしなかった一般債権者は、配当を受けた他の債権者に対して、その者が配当を受けたことによって自己が配当を受けることができなかった額に相当する金員について不当利得返還請求をすることができない。
解説
事案
不動産等の強制執行・担保執行の配当手続で、配当期日に配当表が作成され、他の債権者が配当を受けた。一般債権者Xは、配当期日に配当異議の申出(民事執行法89条)をしなかった。
Xは後になって、配当を受けた他の債権者Yに対し、Yが配当を受けたために自分が配当を受けられなかったとして、その額に相当する金員の不当利得返還(民法703条)を求めた。
原審(東京高裁)はXの請求を認めなかった。Xが上告したが、最高裁第一小法廷は裁判官全員一致で上告を棄却した。
争点
- 配当期日に配当異議の申出をしなかった一般債権者が、配当を受けた他の債権者に対して、自己が配当を受けられなかった額について不当利得返還請求(民法703条)をすることができるか
- 一般債権者が他の債権者の配当受領により配当を受けられなかったことが、民法703条の「損失」にあたるか
判旨
結論:配当期日に配当異議の申出をしなかった一般債権者は、配当を受けた他の債権者に対し、自己が配当を受けられなかった額に相当する金員の不当利得返還請求をすることができない。
規範(答案用)
- 不当利得返還請求権が成立するには、請求者に民法703条の「損失」が生じたことが必要である。
- 一般債権者は、債務者の一般財産から債権の満足を受けられる地位を持つにとどまる。特定の執行目的物について優先弁済を受ける実体的権利は持たない。
- したがって、他の債権者が配当を受けたために自分が配当を受けられなかったというだけでは、「損失」は生じない。
判決文から
「ある者が不当利得返還請求権を有するというためにはその者に民法七〇三条にいう損失が生じたことが必要であるが」
703条の「損失」要件から論じる出発点
「一般債権者は、債務者の一般財産から債権の満足を受けることができる地位を有するにとどまり、特定の執行の目的物について優先弁済を受けるべき実体的権利を有するものではなく」
一般債権者の地位の性質づけ。否定の核心
「他の債権者が配当を受けたために自己が配当を受けることができなかったというだけでは右の損失が生じたということができないからである。」
配当不受領は「損失」にならないとの結論部分
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
