最判平成10年3月24日
共有者の一人が無断で共有物を変更した場合、他の共有者は持分権に基づき行為全部の禁止と、特段の事情がない限り原状回復を請求できる
出題:司法H24・司法H29・司法R1・司法R4・司法R8・予備R2・予備R4
- 裁判所
- 最高裁判所第三小法廷
- 事件番号
- 平成8(オ)551 共有持分権に基づく妨害排除、遺言無効確認等
- 裁判
- 判決・その他
- 判例集
- 集民 第187号485頁
- 参照法条
- 民法249条,民法251条
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
共有者の一人による共有物の変更と他の共有者からの原状回復請求の可否
裁判要旨
共有者の一人が他の共有者の同意を得ることなく共有物に変更を加えた場合には、他の共有者は、特段の事情がない限り、変更により生じた結果を除去して共有物を原状に復させることを求めることができる。
解説
事案
亡Dは本件土地を含む不動産を所有していた。Dは平成2年に死亡し、妻Eと、上告人・被上告人を含む4人の子が相続したが、遺産分割協議は終わっていない。
本件土地はDの死後、畑として利用されていた。ところが被上告人(持分8分の1)は、家屋を建てる目的で、平成5年4月ころから7月ころまで土砂を搬入して地ならしをする宅地造成工事を行った。その結果、北側公道の路面より25cm低かった地平面が路面より高くなり、土地は非農地化した。
上告人は、共有持分権に基づく妨害排除として、地平面が公道より25cm低くなるよう土砂を撤去する原状回復工事を求めた。原審は、被上告人も共有者として本件土地を使用する権原があるから妨害排除請求はできないとして、請求を棄却した。
争点
- 共有者の一人が他の共有者の同意なく共有物に変更を加えた場合、他の共有者は持分権に基づき単独で行為の禁止を求められるか
- 変更行為の終了後に、結果を除去して原状回復を求めることができるか
- 原状回復請求が制限される「特段の事情」とは何か
判旨
原判決のうち上告人の請求に関する部分を破棄差戻しとした。
規範
- 共有者の一部が他の共有者の同意を得ずに、共有物を物理的に損傷・改変するなど共有物に変更を加える行為をしている場合、他の共有者は、各自の共有持分権に基づき、その行為の全部の禁止を求めることができる。
- さらに、共有物を原状に復することが不能であるなどの特段の事情がない限り、その行為により生じた結果を除去して原状に復させることも求めることができる。
- ただし、変更の態様・程度と妨害排除による相手方の社会的経済的損失の重大性との対比、共有関係の発生原因、変更に同意している共有者の数・持分割合その他諸般の事情に照らして、請求が権利の濫用に当たるなど許されない場合もある。
あてはめ
- 畑を宅地造成して非農地化した行為は共有物の変更にあたり、他の共有者の同意の主張立証もない。
- よって上告人は、工事の差止めを求めることができる。
- 工事終了後であっても、搬入土砂の範囲の特定と撤去が可能であれば、特段の事情がない限り土砂の撤去を求めることができる。
判決文から
「共有者の一部が他の共有者の同意を得ることなく共有物を物理的に損傷しあるいはこれを改変するなど共有物に変更を加える行為をしている場合には、他の共有者は、各自の共有持分権に基づいて、右行為の全部の禁止を求めることができる」
持分権に基づく単独での全部禁止の規範
「共有物を原状に復することが不能であるなどの特段の事情がある場合を除き、右行為により生じた結果を除去して共有物を原状に復させることを求めることもできると解するのが相当である。」
原状回復請求の原則と特段の事情の例外
「自己の共有持分権に対する侵害がある場合には、それが他の共有者によると第三者によるとを問わず、単独で共有物全部についての妨害排除請求をすることができ」
侵害者が共有者でも単独で妨害排除可能
「共有物に変更を加える行為は、共有物の性状を物理的に変更することにより、他の共有者の共有持分権を侵害するものにほかならず」
変更行為=持分権侵害と位置づけた理由
「被上告人が本件土地につき共有持分権に基づく使用権原を有しているとの一事をもって」
使用権原だけでは請求を排斥できない
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
