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最判平成10年1月30日

抵当権者は、賃料債権が譲渡され第三者対抗要件が備えられた後でも、自ら差し押さえて物上代位できる

民法抵当権その他の担保物権弁済・相殺本試験で 3 問(短答 2・論文 1)

出題:司法R5・司法R6・司法R8

裁判所
最高裁判所第二小法廷
事件番号
平成9(オ)419 取立債権
裁判
判決・その他
判例集
民集 第52巻1号1頁
参照法条
民法304条,民法372条,民法467条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

抵当権者による物上代位権の行使と目的債権の譲渡

裁判要旨

抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

上告人(抵当権者)は、F産業に30億円を貸し付けた。D建設はその所有建物にこの貸金債権を被担保債権とする抵当権を設定し、平成2年に登記した。その後F産業は期限の利益を喪失し、倒産した。

D建設は、平成5年1月、建物全部を被上告人に賃貸し、賃借権設定登記をした(賃料月額200万円、敷金1億円、譲渡転貸自由)。同年4月、EがD建設に7000万円を貸し付け、翌日、D建設は平成5年5月分から平成8年4月分までの賃料債権を代物弁済としてEに譲渡した。被上告人はこれを承諾し、公証人による確定日付も得た。

その後、上告人は物上代位に基づいて賃料債権の差押命令を得た(同年5月10日発令、6月10日送達)。そして被上告人に対し、平成5年7月分から平成6年3月分までの賃料の支払を求めた。

  • 第一審:債権譲渡を理由とする被上告人の主張は権利濫用であるという上告人の主張を認め、物上代位が債権譲渡に優先するとして、賃料月額200万円を基に1800万円の限度で認容した。
  • 原審:債権譲渡が物上代位に優先するとして、請求を棄却した。

争点

  • 民法372条により準用される304条1項ただし書の「払渡又ハ引渡」に債権譲渡が含まれるか
  • 物上代位の目的債権(将来の賃料債権)が譲渡され第三者対抗要件が備えられた後でも、抵当権者は物上代位権を行使できるか

判旨

原判決を一部破棄し、第一審の結論(1800万円の限度で認容)を正当とした。

規範は次のとおりである。

  • 民法372条・304条1項ただし書が差押えを要求する趣旨は、主として、第三債務者を二重弁済の危険から保護する点にある。
  • この趣旨に照らすと、同項の「払渡又ハ引渡」には債権譲渡は含まれない。
  • したがって抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者対抗要件が備えられた後でも、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使できる。
  • この理は、差押えの時点で、譲渡された目的債権の弁済期が到来しているか否かにかかわらず当てはまる。

判決文から

「二重弁済を強いられる危険から第三債務者を保護するという点にあると解される。」

差押え要件の趣旨=第三債務者保護説の採用

「同項の「払渡又ハ引渡」には債権譲渡は含まれず、抵当権者は、物上代位の目的債権が譲渡され第三者に対する対抗要件が備えられた後においても、自ら目的債権を差し押さえて物上代位権を行使することができるものと解するのが相当である。」

結論となる規範。答案にそのまま使える

「抵当権の効力が物上代位の目的債権についても及ぶことは抵当権設定登記により公示されているとみることができ」

譲受人に対する優先の根拠=登記による公示

「物上代位による差押えの時点において債権譲渡に係る目的債権の弁済期が到来しているかどうかにかかわりなく、当てはまるものというべきである。」

弁済期到来の有無は結論に影響しない

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。