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最決平成元年6月26日

共犯者による暴行のおそれが残っているのに、防止措置を講じず立ち去っても共犯関係は解消しないとした決定

刑法共同正犯教唆・幇助・共犯の諸問題未遂・中止犯・不能犯本試験で 2 問(短答 2・論文 0)

出題:司法R4・予備R6

裁判所
最高裁判所第一小法廷
事件番号
昭和63(あ)948 傷害致死、死体遺棄
裁判
決定・棄却
判例集
刑集 第43巻6号567頁
参照法条
刑法60条,刑法205条1項

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

共犯関係が解消していないとされた事例

裁判要旨

甲が、乙と共謀のうえ、こもごも丙に暴行を加えたのち、現場から立ち去るに際し、乙において丙に対しなお暴行を加えるおそれが消滅していなかつたのに、格別これを防止する措置を講じなかつたときは、甲乙間の当初の共犯関係は、右の立ち去つた時点で解消したものということはできない。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被告人はAの舎弟分である。両名は、スナックで一緒に飲んでいたBの酒癖が悪く、たしなめても反抗的な態度を示したことに憤慨し、謝らせるためBを車でA方に連行した。A方の八畳間で謝罪を強く促したが、Bが応じず反抗的な態度をとり続けたため激昂した。被告人はAと暴行の意思を相通じ、約1時間ないし1時間半にわたり、竹刀や木刀でこもごもBの顔面・背部等を多数回殴打した。

その後、被告人は「おれ帰る」と言っただけでA方を立ち去った。その際、制裁をやめる趣旨は告げていない。Aに暴行をやめるよう求めたり、Bを寝かせるよう、あるいは病院に連れて行くよう頼んだりもせず、現場をそのままにした。

ほどなくAは再び激昂し、「まだシメ足りないか」と怒鳴って木刀でBの顔を突くなどの暴行を加えた。Bは同日午後1時ころまでの間に、甲状軟骨左上角骨折に基づく頸部圧迫等により窒息死した。死の結果が被告人の立去り前の共同暴行によるものか、その後のAの暴行によるものかは断定できなかった。

争点

  • 実行の着手後に共犯者の一人が現場を立ち去った場合、共犯関係(共謀)は解消するか
  • 死の結果が立去り後の他の共犯者の暴行によって生じた可能性がある場合に、立ち去った者が傷害致死罪(刑法205条)の共同正犯(刑法60条)の責任を負うか

判旨

上告棄却。被告人が帰った時点では、Aがなお制裁を加えるおそれは消滅していなかった。にもかかわらず、被告人は格別これを防止する措置を講ずることなく、成り行きに任せて現場を去ったにすぎない。したがって、Aとの間の当初の共犯関係はその時点で解消したとはいえず、その後のAの暴行も当初の共謀に基づくものと認められる。

そうすると、仮にBの死の結果が被告人の帰った後のAの暴行によって生じていたとしても、被告人は傷害致死の責任を負う。

答案用の規範は次のとおりである。

  • 実行着手後に共犯者の一人が離脱する場合、他の共犯者がなお犯行を継続するおそれが消滅していないときは、離脱者がこれを防止する措置を講じない限り、共犯関係は解消しない。
  • その後の他の共犯者の行為・結果も、当初の共謀に基づくものとして離脱者に帰責される。

判決文から

「被告人が帰つた時点では、Aにおいてなお制裁を加えるおそれが消滅していなかつたのに、被告人において格別これを防止する措置を講ずることなく、成り行きに任せて現場を去つたに過ぎないのであるから」

おそれの残存と防止措置の欠如という判断要素

「Aとの間の当初の共犯関係が右の時点で解消したということはできず、その後のAの暴行も右の共謀に基づくものと認めるのが相当である。」

解消否定の結論と、後の暴行の共謀への帰属

「かりにBの死の結果が被告人が帰つた後にAが加えた暴行によつて生じていたとしても、被告人は傷害致死の責を負うとしたのは、正当である。」

死因の発生時点が不明でも傷害致死の責任を負う

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。