SaySayLaw

覚せい剤注射少女放置事件

最決平成元年12月15日

救急医療を要請していれば十中八九救命できた場合、不要請の不作為と死亡の因果関係を認めた

刑法不作為犯構成要件該当性・因果関係生命・身体に対する罪本試験で 6 問(短答 6・論文 0)

出題:司法H27・司法H28・司法R1・司法R3・司法R5・予備H28

裁判所
最高裁判所第三小法廷
事件番号
平成1(あ)551 覚せい剤取締法違反、保護者遺棄致死
裁判
決定・棄却
判例集
刑集 第43巻13号879頁
参照法条
刑法第1編第7章,刑法218条1項,刑法219条

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

救急医療を要請しなかつた不作為と被害者の死の結果との間に因果関係が認められた事例

裁判要旨

被告人らによつて注射された覚せい剤により被害者の女性が錯乱状態に陥つた時点において、直ちに被告人が救急医療を要請していれば、同女の救命が合理的な疑いを超える程度に確実であつたと認められる本件事案の下では、このような措置をとらなかつた被告人の不作為と同女の死亡との間には因果関係がある。

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

被告人らは、当時13歳の女性に覚せい剤を注射した。女性は午前0時半ころ、その覚せい剤により錯乱状態に陥った。被告人は救急医療を要請せず、漫然と女性をホテル客室に放置した。女性は午前2時15分ころから午前4時ころまでの間に、同室で覚せい剤による急性心不全のため死亡した。

原判決の認定によれば、錯乱状態に陥った時点で直ちに救急医療を要請していれば、女性が年若く、生命力が旺盛で、特段の疾病がなかったことなどから、十中八九救命が可能であった。

原審(札幌高裁)は覚せい剤取締法違反とともに保護者遺棄致死罪(刑法219条・218条)の成立を認めた。被告人が上告したところ、最高裁は上告趣意をいずれも適法な上告理由に当たらないとし、保護者遺棄致死の点について職権で判断を示して上告を棄却した。

争点

  • 救急医療を要請しなかった不作為と被害者の死亡との間に刑法上の因果関係が認められるか
  • 不作為犯の因果関係を肯定するには、期待された作為による結果回避がどの程度確実である必要があるか

判旨

結論:被告人が救急医療を要請せず被害者をホテル客室に放置した行為と、被害者の死亡との間には刑法上の因果関係がある。保護者遺棄致死罪の成立を認めた原判決は正当である(上告棄却)。

規範(答案用):不作為と結果との因果関係は、期待された作為がなされていれば結果が回避されたことが合理的な疑いを超える程度に確実であったといえる場合に認められる。

あてはめ:被害者が錯乱状態に陥った時点で直ちに救急医療を要請していれば、被害者の年齢、旺盛な生命力、疾病の不存在などから「十中八九」救命が可能であった。したがって、救命は合理的な疑いを超える程度に確実であったと認められる。

判決文から

「直ちに被告人が救急医療を要請していれば、同女が年若く(当時一三年)、生命力が旺盛で、特段の疾病がなかったことなどから、十中八九同女の救命が可能であったというのである。」

救命可能性の認定と、その根拠となった事情

「同女の救命は合理的な疑いを超える程度に確実であったと認められるから」

不作為の因果関係を肯定する基準の核心部分

「被告人がこのような措置をとることなく漫然同女をホテル客室に放置した行為と午前二時一五分ころから午前四時ころまでの間に同女が同室で覚せい剤による急性心不全のため死亡した結果との間には、刑法上の因果関係があると認めるのが相当である。」

放置行為と死亡結果の因果関係を肯定した結論

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。