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宅建業法事件

最判平成元年11月24日

宅建業者への知事の免許付与・更新は、免許基準に適合しなくても取引関係者との関係で直ちに国賠法上違法とはならないとした。監督処分権限の不行使は、権限付与の趣旨・目的に照らし著しく不合理と認められるときでない限り違法とならないとした

民法占有権・所有権・共有相続行政裁量本試験で 8 問(短答 8・論文 0)

出題:司法H24・司法H26・司法H30・司法R4・司法R7・予備H27・予備H29・予備R7

裁判所
最高裁判所第二小法廷
事件番号
昭和61(オ)1152 損害賠償
裁判
判決・棄却
判例集
民集 第43巻10号1169頁
参照法条
国家賠償法1条1項,宅地建物取引業法(昭和55年法律第56号による改正前のもの)3条1項,宅地建物取引業法(昭和55年法律第56号による改正前のもの)3条2項,宅地建物取引業法(昭和55年法律第56号による改正前のもの)5条1項,宅地建物取引業法(昭和55年法律第56号による改正前のもの)65条2項,宅地建物取引業法(昭和55年法律第56号による改正前のもの)66条9号

判示事項・裁判要旨

裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)

判示事項

一 宅地建物取引業法所定の免許基準に適合しない免許の付与ないし更新をした知事の行為と国家賠償法一条一項の違法性 二 宅地建物取引業者に対する知事の監督処分権限の不行使と国家賠償法一条一項の違法性

裁判要旨

一 宅地建物取引業者に対する知事の免許の付与ないし更新が宅地建物取引業法所定の免許基準に適合しない場合であっても、知事の右行為は、右業者の不正な行為により損害を被った取引関係者に対する関係において直ちに国家賠償法一条一項にいう違法な行為に当たるものではない。 二 知事が宅地建物取引業者に対し宅地建物取引業法六五条二項による業務停止処分ないし同法六六条九号による免許取消処分をしなかった場合であっても、知事の右監督処分権限の不行使は、具体的事情の下において、右権限が付与された趣旨・目的に照らして著しく不合理と認められるときでない限り、右業者の不正な行為により損害を被った取引関係者に対する関係において国家賠償法一条一項の適用上違法の評価を受けない。 (二につき反対意見がある。)

判決全文(裁判所ウェブサイト)

解説

事案

有限会社D住研は昭和47年に京都府知事から宅建業者の免許を受け、昭和50年に更新を受けた(免許・更新は法所定の免許基準に適合しないことが窺われた)。実質上の経営者Eは多額の負債を抱え、他人所有の不動産を自社物件として売る「手付売買」を続けていた。昭和51年ころからは、所有権移転や代金返還の不履行が増えた。

  • 苦情申出は更新直前の1件が最初で、担当職員が事情聴取して処理した。
  • 更新後も苦情が続き、担当職員は昭和51年7月に立入検査を行い、新規契約締結の禁止を指示した。
  • 被害者からは、Eの融資が実現するまで処分を猶予してほしいとの要望があった。
  • 上告人は同年9月3日、取得可能性のない土地建物をD住研所有の建売住宅と信じて代金1050万円で買い受けた。中間金等合計740万円を支払ったが、所有権を取得できなかった。
  • 府は10月25日に監督処分の方針を決め、11月15日に聴聞期日を指定した。その直後の11月25日に、上告人は2回目の中間金390万円を支払っている。
  • 昭和52年4月7日、知事は法66条9号により免許を取り消した。

上告人は、免許の付与・更新と監督処分権限の不行使が違法であるとして、国家賠償を求めた。

争点

  • 免許基準に適合しない宅建業免許の付与・更新が、業者の不正行為で損害を受けた取引関係者との関係で国賠法1条1項上違法となるか
  • 知事が業務停止処分(法65条2項)・免許取消処分(法66条9号)をしなかったこと(規制権限の不行使)が国賠法1条1項上違法となるか、その判断基準

判旨

上告棄却(国家賠償責任を否定)。

  • 免許の付与・更新について:知事等による免許の付与・更新それ自体は、法所定の免許基準に適合しない場合であっても、当該業者の個々の取引関係者との関係で、直ちに国賠法1条1項にいう違法な行為に当たるものではない。
  • 監督処分権限の不行使について:業務停止・免許取消の処分の選択や権限行使の時期等は、知事等の専門的判断に基づく合理的裁量に委ねられている。したがって、業者の不正行為で取引関係者が損害を被った場合でも、具体的事情の下において、監督処分権限が付与された趣旨・目的に照らし、その不行使が著しく不合理と認められるときでない限り、権限の不行使は当該取引関係者との関係で国賠法1条1項の適用上違法とならない。
  • 本件へのあてはめ:更新までの苦情は1件で、処理済みであった。更新後は、担当職員が被害者救済の可能性を模索しつつ行政指導を続けていた。そのため、上告人が中間金を支払った時点までに処分をしなかったことは著しく不合理とはいえない。

判決文から

「知事等による免許の付与ないし更新それ自体は、法所定の免許基準に適合しない場合であっても、当該業者との個々の取引関係者に対する関係において直ちに国家賠償法一条一項にいう違法な行為に当たるものではないというべきである。」

判示一の規範。「直ちに」違法とならない点が要

「これらの処分の選択、その権限行使の時期等は、知事等の専門的判断に基づく合理的裁量に委ねられているというべきである。」

監督処分の効果裁量・時の裁量を認めた部分

「具体的事情の下において、知事等に監督処分権限が付与された趣旨・目的に照らし、その不行使が著しく不合理と認められるときでない限り、右権限の不行使は、当該取引関係者に対する関係で国家賠償法一条一項の適用上違法の評価を受けるものではない」

規制権限不行使の違法判断の基本規範

「かかる損害の救済は一般の不法行為規範等に委ねられているというべきである」

個別損害の救済は免許制度の直接目的外とした根拠

この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。