日本テレビ事件(日本テレビビデオテープ差押事件)
捜査機関による取材ビデオテープの差押えにも博多駅事件の比較衡量基準が及ぶとし、本件差押えを合憲とした決定
出題:司法H24・司法R6・予備R6
- 裁判所
- 最高裁判所第二小法廷
- 事件番号
- 昭和63(し)116 贈賄被疑事件について地方裁判所がした準抗告棄却決定に対する特別抗告
- 裁判
- 決定・棄却
- 判例集
- 刑集 第43巻1号19頁
- 参照法条
- 憲法21条,憲法35条,刑訴法218条1項,刑訴法218条3項
判示事項・裁判要旨
裁判所ウェブサイトの判例情報より(原文のまま)
判示事項
報道機関の取材ビデオテープに対する捜査機関の差押処分が憲法二一条に違反しないとされた事例
裁判要旨
報道機関の取材ビデオテープに対する捜査機関の本件差押処分は、右テープが重大な被疑事件の解明にほとんど不可欠であり、報道機関による右テープの放映自体には支障をきたさないなどの具体的事情の下においては、憲法二一条に違反しない。
解説
事案
被疑者Aは、いわゆるリクルート疑惑に関する国政調査権の行使等に手心を加えてもらいたいなどの趣旨で、衆議院議員Bに対し3回にわたって多額の現金供与を申し込んだとされた(贈賄被疑事件)。報道機関である申立人は、証拠の保全を意図したBからの情報提供と依頼に基づいて、AとBの面談状況をビデオテープに収録していた。そのうえで放映用の編集を終え、差押え当日までに放映していた。
- 検察官の請求で裁判官が差押許可状を発付し、東京地検の検察事務官が昭和63年11月1日、申立人方でビデオテープ(未放映部分を含む)を差し押さえた。
- Aは現金提供の趣旨等を争って否認し、未放映部分に自己の弁明を裏付ける内容があると強く主張していた。Bは事実関係の記憶が必ずしも明確でなかった。
- 差押えに先立ち、検察官は申立人と事前折衝を行っていた。
申立人は、差押処分が憲法21条に違反するとして準抗告をしたが、東京地裁に棄却され、特別抗告に及んだ。
争点
- 報道機関の取材結果(ビデオテープ)に対する捜査機関の差押えは、取材の自由との関係で憲法21条に違反するか
- 裁判所の提出命令に関する博多駅事件決定の判断基準は、捜査機関による差押えにも及ぶか
判旨
抗告棄却。本件差押処分は憲法21条に違反しない。
- 前提:報道は国民の「知る権利」に奉仕し、憲法21条の保障の下にある。報道のための取材の自由も、憲法21条の趣旨に照らし十分尊重される。ただし、公正な裁判の実現のような憲法上の要請があれば、ある程度の制約を受ける(博多駅事件決定)。
- 基準の適用範囲:公正な刑事裁判の実現には適正迅速な捜査が不可欠の前提であるから、取材の自由の制約の許否について、裁判所の提出命令と捜査機関の差押えとの間に本質的差異はない。
- 規範:差押えの可否は、①捜査対象である犯罪の性質・内容・軽重等、②取材結果の証拠としての価値、③ひいては適正迅速な捜査を遂げるための必要性と、④押収により報道の自由が妨げられる程度、⑤将来の取材の自由が受ける影響、その他諸般の事情とを比較衡量して決する。
- 当てはめ:本件テープは重大事件の解明にほとんど不可欠である。他方、放映自体には支障がなく、申立人の不利益は将来の取材の自由への影響にとどまる。したがって、差押えはやむを得ない。
判決文から
「国家の基本的要請である公正な刑事裁判を実現するためには、適正迅速な捜査が不可欠の前提であり、報道の自由ないし取材の自由に対する制約の許否に関しては両者の間に本質的な差異がないことは多言を要しないところである。」
提出命令の基準を捜査機関の差押えに及ぼす根拠
「差押の可否を決するに当たつては、捜査の対象である犯罪の性質、内容、軽重等及び差し押えるべき取材結果の証拠としての価値、ひいては適正迅速な捜査を遂げるための必要性と」
比較衡量の一方側(捜査の必要性)の考慮要素
「取材結果を証拠として押収されることによつて報道機関の報道の自由が妨げられる程度及び将来の取材の自由が受ける影響その他諸般の事情を比較衡量すべきであることはいうまでもない」
比較衡量の他方側(報道・取材への影響)
「本件差押処分により申立人の受ける不利益は、本件ビデオテープの放映が不可能となり報道の機会が奪われるという不利益ではなく、将来の取材の自由が妨げられるおそれがあるという不利益にとどまる。」
既放映の事実で不利益を限定した当てはめの要
この解説は AI が作成しています。判決全文に基づいて書き、別の AI が全文と照合して確認していますが、誤りが残っている可能性があります。 判決文の引用は全文と一字一句照合したものだけを載せています。大事な点は判決全文で確かめてください。
